なぜ「痛いの、痛いの、飛んでいけ!」で痛みが改善するのか…その論理とは?
公開日:2017/5/17
小さな子どもがケガをして泣く。そして、母親はケガの箇所に優しく手を当てる。すると、子どもがすっと泣き止む。
『なぜ母親は、子どもにとって最高の治療家になれるのか?』(長谷澄夫/和器出版)は、「子を想う母親の力」から整体の論理を説いている。
本書によると、「手当て」とは、古くに文字どおり「手を当てる」ことで病気やケガが改善したことから、病気治療と同義の言葉となった。
誰でも、ぶつけて痛いところに手を当てる。これは、痛みが軽減するから行う、人の本能的な動きだという。それなら医者はいらないのでは? と思われるかもしれないが、著者は実際に手を当てるだけで多くの人の不調を改善してきた、と語る。
なぜ、手を当てるだけで痛みが軽減するのか。本書は持論を展開している。
人は行動する前にやること・やりたいことを意識している。北海道へ行こうと意識するから、飛行機の時間を調べてチケットを取り、空港で飛行機に乗り、北海道へ行く。車が欲しい場合も、車が欲しいと意識するからカタログを見て、ディーラーに行き、どの車にするかを選んで購入する。
病気も同じで、まずは意識が先にある。本書はこう述べる。
自然治癒力に、「ここが調子悪い」ということを、意図的に〈意識〉で教えてあげるのです。腰が痛ければ、腰に手を当てることで、私たちは腰を〈意識〉します。そうすると、そこに向けて自然治癒力が出動してくれて、修復してくれるのです。
だからこそ、センサーを磨いておいて、早く異変に気づけば、もっとも簡単に、手を当てた瞬間に、違和感は消えていきます。
母親は、わが子を赤ん坊のころからずっと観察し、すこしでも具合が悪いと察知する。そして、「できることなら代わってあげたい」という強い気持ちで、無意識に子どもの背中や胸をさすってあげている。ときに、「痛いの、痛いの、飛んでいけ!」と唱える。
本書は、子どもにとっての最高の医者であり治療家は、母親だと繰り返している。
子を想い、優しく手を当てる母親がより増えれば、子どもの健やかな笑顔はさらに増えるはずだ。
文=ルートつつみ