小学校最初の3年間で大切なことは? 高学年から一気に伸びる地力を育てる勉強法
公開日:2017/5/26
「うちの子は、小学校でちゃんとやっていけるだろうか」と、多くのお父さんやお母さんが心配した経験があるのではないでしょうか? 幼稚園や保育園時代とは違い、小学校に上がると生活面だけでなく勉強面でも心配事が増えていきます。家でもっと勉強させるべきか、塾に行かせたほうがいいのか、英語も始めるべきか、何かしなくてはと焦りを感じてしまう人も少なくないでしょう。
『小学校最初の3年間で本当にさせたい「勉強」』(中根克明/すばる舎)では、学校生活のスタートである小学校最初の3年間は学力の土台が身につくかどうかが決まる大事な時期であり、どう過ごせばいいのかを具体的に紹介しています。本書の著者は、難関校合格者を多数輩出、1万2000人が学んだ大注目の通信教育「言葉の森」代表の中根克明さん。長年、教育の現場でたくさんの親子を見てきた著者が、本当に大切な「勉強」とはなにか本書のなかで披露しています。
「よく遊び、すこし学べ」
「よく遊び、よく学べ」という言葉があるように、遊ぶことも学ぶことも、どちらも大切なことです。しかし、親はだいたい「よく学べ」に重点を置きがち。一方で中根さんは、小学校1年生から3年生にかけての時期は「よく遊び、すこし学べ」くらいがちょうどいいといいます。小学校最初の3年間は、たくさん遊び、好きなことに熱中することが大事。なぜなら、自由な時間が、集中力や持続力、自主性や思考力を育て、高学年から一気に伸びる地力になるからです。子どものころに塾や学校で詰めこんだ知識より、遊びの時間で身につけた知識や幸福な思い出のほうが、強く記憶に残ることは、かつて子どもですでに大人になったお父さんやお母さんにはよくわかると思います。予習復習、先取り学習など、無理に詰めこませようとせず、小学校最初の3年間は習慣として家庭学習が身につく程度でいいのです。
読書こそ本当にさせたい「勉強」です
本書のタイトルに「本当にさせたい勉強」とありますが、読書こそ本当にさせたい「勉強」だと、著者は強く訴えています。本を読むことは一般的には勉強だと思われていませんが、学力を伸ばすという意味でいえば読書ほど「勉強」となるものはないと断言します。学力の土台である国語力は読書によって身につくもの。好きな本を思う存分読んで楽しみ、しっかりと国語力を養った子は、高学年から一気に伸びやすいのです。
いろいろな本をたくさん読みながら、その一方で、特定の本を何度もくり返し読む、この多読と精読の組み合わせが読書力を育てるのです。
本を読むことは、その本の内容が頭の中に入るだけでなく、その子のものの見方や考え方を形成する助けとなります。多様なジャンルの本を読む機会を子どもに作ってあげ、その中で繰り返し読むような本が出てきたら、「その本好きなんだね」といったように、子どもを温かく認める言葉をかけてあげましょう。
詰めこみは厳禁。この時期にたくさん遊び、本をいっぱい読み、好きなことに熱中したら、勝手にグングン伸びていきます!
塾通いなどが低年齢化し、早いうちからいろいろと習い事をさせたほうがいいのかな…とお悩みの方は、ぜひ手に取ってみてください。自分や社会のために役立つ知識を学び、真の実力をつけるために勉強する方法、学力を伸ばすだけでなく、子どもの根っこをしっかり育てるために、本当に大切なことがよくわかる一冊です。
文=なつめ