ねこが館長!? 図書館へ行きたくなる「どうぶつと図書館」のオススメ絵本4選!
更新日:2017/11/12
4月30日の図書館記念日に始まり、5月1日から5月31日は、日本図書館協会が制定した図書館振興月間。新年度で新しい街での新生活を始めたあなた、GWで疲れちゃったあなた、お子さんの図書館デビューを考えているあなたに、図書館ってすてきなところだよと教えてくれる本をご紹介!
今年の春、岩手では猫ノ図書館が開設され、初代ねこ館長が誕生! 遠く離れたイギリスでは、事故で3本足となった猫・ジャスパーがケンブリッジ大学の図書館で元気に働き学生たちの人気となっていたりと、「どうぶつ」と「図書館」のすてきなコラボがちょっとした話題になっている。そこで、数ある本の中から「どうぶつと図書館の絵本」をチョイスしながら、図書館利用のコツも伝授しちゃいます。
ねこが働くすてきな図書館のものがたり
アメリカ・アイオワ州スペンサーの公立図書館での実話に基づく物語。ある寒い朝、ブックポストに返却(?)されていたのは、カワイイ仔猫。当時図書館で働いていた作者のヴィッキーさんは仔猫を追い出すことなく、保護しました。図書の分類法であるデューイ十進分類法の考案者メルヴィル・デューイにちなんで、仔猫は「デューイ」と名付けられました。そのまま図書館で飼育されることになったデューイは「としょかんねこ」として、多くの利用者たちを笑顔にするのでした。
『図書館ねこキヨシ』シリーズ4作目/コイドサチコ(コイプレスブログより)
※武蔵野市図書館では貸し出し可能。東京都内の方であれば「協力貸出」という形で自分の最寄の図書館に取り寄せることが可能だそう。
手製本作家のコイドサチコさんによる本作に登場するのは、エプロン姿がかわいらしい和猫のキヨシ。日本の図書館の本の分類「日本十進分類法」を作った森清さんにちなんでキヨシと名付けられたのだから、まさに「日本版デューイ」。こちらは実話ではなく、コイドさんの創作ストーリーですが、図書館ねこのキヨシが「バーコードリーダーは、かたちが猫の手に似ていると思います」と考えながら本の返却をしたり、「トクソク状のハンコ」を自分の肉球で押したり……まじめに働く姿に癒やされることうけあい。
図書館は誰にだって開かれたすてきな場所
『としょかんライオン』(ミシェル・ヌードセン:作、ケビン・ホークス:絵、福本友美子:訳/岩崎書店)
図書館員経験もあるヌードセンさん作のお話。ある日、図書館にやって来た珍客は……なんと、ライオン! 職員もお客さんもビックリしてしまいますが、報告を受けたメリーウェザー館長は「そのライオンは図書館のきまりを守らないのですか?」と全く動じず。「きまりを守る限り、誰でも図書館を利用する権利がある」と、ライオンも受け入れるのでした。ライオンは「大きな声を出してはいけない」「走ってはいけない」など、図書館でのマナーを学び、人間たちと仲良くなっていくのですが……ある日、メリウェザーさんに大変なことが起きてしまいます。果たして、としょかんライオンはどうピンチを切り抜けるのか? 心あたたまる物語は、世界中で愛されています。
『としょかんのよる』(ローレンツ・パウリ:文、カトリーン・シェーラー:絵、若松宣子:訳/ほるぷ出版)
ある晩、獲物のネズミを追いかけて図書館に飛び込んだのはキツネ。「おまえはおれのものだ。いますぐぱくりとたべてやる」と大声で脅すキツネに、ネズミは「ここのものは、みんなのもの。(中略)だって、ここはとしょかんなんだから」と笑って返す。
図書館って何? と興味を持ったキツネに、ネズミは「世の中には本があること」「本は10冊まで借りられる」「かじったり折ったりしてはいけない」「図書館では静かに」と、ルールを教える。図書館デビューのお子さんと一緒に読みたい一冊。
というわけで、どうぶつと図書館の物語は、この他にもたくさんあります。
低賃金問題や嘱託職員ばかりの雇用形態、某図書館での高額ダミー本問題、蔵書の無断廃棄、本が売れない時代なのに新刊本を発売日に図書館で貸し出していいのか……など、ちょっとばかり悩ましい話が多い昨今ですが、「借りた人が返してくれると信じている」という性善説的な前提で成り立つ、人の心があってこその図書館。
「税金払っているんだから言うこと聞けよ」ではなく、「みんなで本を楽しもう」という優しい気持ちで利用したいですよね。週末に平日の会社帰りに、散歩がてら図書館に行ってみてください。すてきな本との出会いがあなたを待っています。
★図書館利用のポイント
(1)ブックポストに返却するのは図書だけ! CDやDVDは破損する可能性があるので入れないで。もちろん、ねこも!
(2)住んでいる市町村以外でも、在学在勤登録、近隣登録などができるので、図書館で尋ねてみよう!
(3)本は大切に扱おう。折る、線を引く、切り取る……すべてNG! 破損したときは自分で修理せず、図書館に相談を。セロテープやボンドでの修理は厳禁!
(4)寄贈本は持ち込む前に図書館に連絡を。リストを作って持っていくと喜ばれますよ!
文=水陶マコト