「愛する人の目のなかに感じるもの。それが、本来の完璧なあなたです」『優しいのに無敵』著者インタビュー
公開日:2017/5/25
世界中の経営者、ハリウッドセレブ、一流スポーツ選手のメンター(心の師)としても活躍する全米トップクラスの臨床心理学者。なぜ彼は、弱肉強食社会、生き馬の目を抜く世界に生きる人たちからも「本物だ」と熱い信頼を集めるのか? 運命の犠牲者から、自分で自分の運命の設計者へ――。日本初公開となる珠玉の成功メソッドの鍵は、コアセルフ(根源的自己)。でも、そもそもコアセルフというのは、どういうものなのだろう?
「コアセルフの問題は、とても深いものです。ただ、何かの信念、信じるものを持っている人は理解しやすいと思います。たとえば、私がよくセラピーで使うのは、仏教でいう公案(悟りを開くための課題として与えられる問題)です。なかでも私がいちばん好きな公案は、“あなたのご両親が生まれる前のあなたの顔を見せてください”というもの。既成概念だけで考えると、ちょっと難しいですよね?(笑)。でも、この問いが意味していることこそ、まさにコアセルフです。Who are You?(あなたは誰ですか?)。ほんとうのあなたとは、肉体でもトラウマでも知識でも人生経験でもない。それをすべて取り去ったところにあるものこそが、本来のあなた。愛する人が自分の目をじっと見つめてくる、そのなかに感じるものこそが、あなたのコアセルフ(根源的自己)なのです」
すべてを取り去り、ただ愛する人の目のなかに感じるもの。それを発見し、そこへ辿り着いた人は、どんなことがあってももう「悲惨な運命の犠牲者」に戻ることはない。何度傷ついても立ち上がり、大いなる喜びを持って、ほんとうの成功者の人生をクリエイトしていける。すなわち「自分で自分の運命の設計者」になれるのだと彼は説く。
「でも、多くの人は今、なかなかそこまで辿り着けないでいる。だからこそ、この本のなかにある34のメソッドは、本来の完璧な自分=コアセルフを発見し、そこに戻っていくためのものになっています。そして、どんなに深く傷ついた人でも、それはきっとできます。なぜなら、私自身がいい例だからです。自分は間違いだらけの人間で凡人です。この本のなかに書かなかったもっと悲惨なトラウマも沢山あります。でも多くの人は今、スティーブン先生はコアセルフをさらけ出していると言う。いつでも生きる希望と勇気がみなぎっているという。私もそう思います。たとえ明日これまで培ってきたものすべてを失くしたとしても、何度でも立ち上がる自信があります。そして、それはあなたにも必ずできます。なぜなら、あなたも私も本来の自分=コアセルフは完璧だから。私たちはみんな、運命の犠牲者ではなく、周りのすべてと愛と喜びを分かち合える幸せな成功者になるために生まれてきているからです」
心の穴を埋め、本当の成功に至るためには、消費ではなく与えること
運命の犠牲者ではなく、ほんとうの成功者へ。そうなるためには、消費の人生から、生産し、与える人生へとシフトすることも鍵だと、彼は続ける。
「今、どうして社会が病んでいるのか。それはあまりにも消費が凄すぎるからです。世界中の人のセラピーをしながら、たとえ文化や環境が違っても、みんな生まれたときは完璧なコアセルフを持っていると確信します。だけど大人になるにつれコアセルフを見失い、心にぽっかり穴が開いていく。だから、いろいろな物を買って、アルコール、ドラッグ、お金、愛のないSEXなどで、その穴を埋めようとする。でも、やればやるほど、心の穴は大きくなっていく。だから、その逆を考えればいいのです。誰かに愛情を与える。助ける。消費ではなく生産する。そうすることによって、穴はどんどん小さくなっていく。つらい、寂しい、悲しかった人生が、のびのびと自由で、大いなる喜びと幸せに溢れるものに変わっていく。つまり、与えると不幸になる、損するという考えが間違いなのです。とはいえ、お金持ちになることが悪いと言っているわけではありません。野心も必要です。ただ、お金も野心もコアセルフが後ろにあれば、それはより素晴らしいものになる。痛みではなく喜びを持って、自分のやりたいことにベストを尽せるようになる。するとそれがまた自分の成長や自信、愛や幸せに繋がって、より良い結果を生んでいく。それこそがこの本で私が伝えたかったほんとうの成功=スライヴです。そして、この本を手にしてくださったあなたは、必ずそれを自らの手で掴んでいただけると信じています。心優しきそのままで、生きる勇気をみなぎらせ、より強く美しく輝きながら人生という冒険を楽しんでいく――。そう、それがほんとうのあなたなのです」
文=藤原理加 写真=川口宗道