人類が宇宙戦争を引き起こす!? 元航空自衛隊パイロットが放つ衝撃のUFOノンフィクション
公開日:2017/5/27
2016年、ロシアの電波望遠鏡が強い信号をキャッチし「宇宙人ではないか?」と世界の注目を集めた。調査の結果、電波は地球上から発信されたものと判明したが、宇宙観測技術の進歩とともに、地球外生命の探索はいよいよ科学の重要テーマとなっている。
そんななか刊行された『宇宙戦争を告げるUFO 知的生命体が地球人に発した警告』(佐藤守/講談社)は、元航空自衛隊パイロットという経歴をもつ著者が、UFOと宇宙人の謎に挑んだノンフィクションだ。
2014年に発表された話題作『実録・自衛隊パイロットたちが目撃したUFO 地球外生命体は原発を見張っている』(講談社)で、多くの自衛隊パイロットが奇妙な飛行物体を目撃しているという事実を明らかにした著者。姉妹編ともいえる本書ではさらに踏み込んで、UFOが地球にやってくる理由を考察している。
地球にUFOが現れるのはなぜか。それは危機に瀕した人類に警告を与えるためではないか、というのが著者の推測だ。その危機とはたとえば核エネルギーの乱用。UFOは原子力発電所など、核エネルギーを使用する施設の近くで目撃されることが多いという。1986年のチェルノブイリ原発事故でも、2011年の福島第一原発事故でも、事故直後の上空にUFOが現れている。宇宙人は我々が核エネルギーによって自滅することがないよう、空から監視しているのかもしれない。
もうひとつの危機は各国による宇宙開発競争だ。近年、木星など太陽系の四惑星にダイヤモンドが眠っていると報じられた。それを宇宙に求めようとする動きが、今後は活発になってゆくだろう。とくに軍主導で宇宙開発を推し進める中国は、世界のパワーバランスを崩しつつある。このままでは近い将来「宇宙戦争」が起こるかもしれない。UFOはそれを警告していると著者はいうのだ。
本書は全8章。自衛隊員のリアルなUFO目撃例を紹介したり、アメリカ政府による情報操作を指摘したりと、話題は多岐にわたるが、なかでも著者自身によるUFOコンタクト体験を描いた第6章が大きな読みどころだ。
著者をコンタクトに誘ったのは、宇宙人との相互的なコミュニケーション「第五種接近遭遇」を実践している日本在住のアメリカ人、グレゴリー・サリバン氏だ。2015年3月、人里離れた山中で行われたコンタクトワークでは一体何が起こったのか? 気になるその結果はぜひ本書でお読みいただきたい。著者・佐藤守氏とサリバン氏、国境を越えてUFOで結ばれた2人の友情が微笑ましい。
いうまでもなくUFOは未確認飛行物体(unidentified flying object)の略称だ。未確認であるゆえに、それはわたしたちを強く引き付ける。本書は元自衛隊パイロットという経歴をもつ著者が、空飛ぶ「何か」に魅せられ、その正体を探ろうとした熱きドキュメントでもある。宇宙のロマンに思いを馳せながら、「『スター・ウォーズ』は映画の世界だけのサイエンス・フィクションに留めておいてほしい」という著者のメッセージに耳を傾けたい。
文=朝宮運河