ホンネは「白髪染め やめたい」派 88% 「グレイヘア」に、あなたは賛成? 反対?

暮らし

公開日:2017/6/9


■「老け見え」しないために、染める女性が大多数

 2017年5月30日、日本橋三越本店の三越カルチャーサロンで「グレイヘアアレンジ 白髪を染める選択を止めて素敵に変身」講座が開かれた。この日、集まったのは40~70代の女性60名余り。このテーマでの開講は初めてだというが、予定人数を超える大盛況だった。

 会場に集まった半数近くは、真っ白なプラチナヘアか白髪の混じるグレイヘア。「染めるのをやめた」という女性たちだ。


 より素敵になりたい、おしゃれに見せたいと「白髪の素敵なヘアスタイル」「白髪に似合うファッション」を知りたくて参加したという。

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 残りの半数は、白髪を「染めている」女性たち。本当は染めるのをやめたいけれど、きっかけが見つからない、決断がつかないという。実行に移せない理由は、「染めないと老けて見えるのではないか」という心配が大半。

 染めるのをやめると本当に老けて見えるのか? 美しいグレイヘアになる方法はないのか? などの悩みに、正解を求めて訪れた。

■本当は染めたくない。いつやめる? それが問題

 今、染めているけれど「本当はやめたい」というホンネが会場でも多く聞かれた。「髪が傷むのが心配だし、費用も時間もかかるので、きれいなグレイヘアになれるのなら、すぐにでもやめたい」「かぶれがひどいので、本当はやめたい」「今は子どもに反対されているが、子どもがある程度成長したらやめたい」等々。

 白髪が増えてくると、染めて2~3週間も経つと、生え際や分け目の白髪が目立ってくる。常にきれいに染めた状態を保つには、手間も時間もお金もかかる。はっきり言って面倒だ。その上、頭皮が敏感な人だと、染めることで痒みが出たり、かぶれることも。そのストレスは、決して軽視できない。

 今回の講座で実施したアンケート結果でも、「一生染め続けたい」を選んだ人はゼロだった。

「いつかはやめたい。いつやめる?」と、それぞれが心のなかで自問しているが、きっかけが見つからない、決断がつかないなどの理由で、「とりあえずもう少し」と曖昧なままの人が多いのではないだろうか。

 アンケートでは、「会社を退職するまでは」「子どもがまだ小さいので、まわりの若い保護者に合わせてもうしばらくは染める」「趣味の社交ダンスで若い先生と踊るので、母親のように見られないために、ダンスをやめるまでは染め続ける」という具体的な期限を挙げる人もいた。

■もし、染めるのをやめたら……グレイヘアまでの移行期間問題

「全体が白くなったら染めるのをやめる」という人はかなり多い。主婦の友社が行った「白髪(グレイヘア)と白髪染に関するアンケート」(2016年9月実施 サンプル数30~80代女性720名)では、あこがれのグレイヘア女性1位は女優の草笛光子、2位は歌手の中尾ミエだった。「あんな風にほとんど白くなってしまえば素敵なんだけど」というため息が聞こえてくるようだ。「真っ白になってしまえばいいけれど、途中の黒と白が混じっている状態が見苦しくてイヤ」ということなのだ。

 ただ、各人いつ真っ白になるかはわからない。その前に染めるのをやめるとなると、染めた髪と白髪交じりの髪が同居することになる。

 本当は今すぐにでもやめたいけれど、「いつやめる?」「今でしょ!」といかない理由は、この移行期間にある。

■移行期問題はこうして解決!プロのアドバイスとリアル体験談

 講座では、講師のヘアスタイリストから「顔周りにハイライトを入れると白髪が目立たない」「明るい色のヘアマニュキアを使って、白髪と黒い髪の差を少なくしていくといい」「きれいに見せるには、ヘアオイルや軽めのヘアクリームで艶を出すといいといったアドバイスが。

 また、グレイヘア実践者からは、「帽子で隠した」「ウィッグを使用」「ヘアマニキュアのトーンを落とし、その後、ヘナで調整してグラデーションになるようにした」「白く見えるところだけヘアダイをした」「ある程度、伸びたところでショートヘアに」「パーマをかけ、ヘアスタイルに表情をつけた」というリアルな体験談も出てきた。




 ファッション面はスタイリストがアドバイス。「グレイヘアにはきれいな色が似合うので、色のバリエーションを楽しめる」と、3人のグレイヘアモデルで実証。

 さらに「努力しないでキレイに見せようというのは虫が良すぎる」という厳しいひと言も。「グレイヘアにしたらヘアケアやスキンケアはもちろん、メイクや服選び、アクセサリー選びにも気をつけることが必要」。

 不精で白髪にしているのではなく、自分でグレイヘアを選択しているのだという気迫も大事ということだ。

■パリで見かけるグレイヘアマダム「染めない」の選択理由

 素敵なグレイヘアを目指す人がお手本にしたい女性、といえばやはりパリマダム。パリのグレイヘアマダムたちに取材した本がある。その名も『ありのままが美しい パリマダム グレイヘア スタイル』(主婦の友社刊)。「染めない」を選んだ、30~90代の37人の写真とインタビューが掲載されている。



「髪を染めて別人になる必要はないわ。そのままの自分でいたい」「ヘアカラーから解放されて自由を勝ち取ったわ。勇気の勝利ね」。凛と美しくほほ笑むパリジェンヌたちから学ぶことは多い。

 グレイヘアにしてから躍動感のあるカットに変えた女性、艶やかな赤の口紅をつけるようになった女性、そして、頭のトップを高く盛り上げる若見えヘアアレンジ、白髪を美しく見せる服の色選び、など具体的なハウツーも盛り沢山だ。

■実際にやめてみたら、予想以上に良かった!

 今回の講座のアンケート結果では、「いつかグレイヘアにしたいと思った」人は88%にものぼった(すでにグレイヘアにしている人を含む)。

 その理由は、「自然体でいたい」「年を取ることを、ありのままに受け止めたい」「年齢相応に、自然なスタイルにしたい」など。

 実際にした人の感想は「手間がかからなくなってラクになった」「頭皮トラブルがなくなってストレスがなくなった」「髪が健康になってコシが戻ってきた」「抜け毛が減った」「白髪染めにお金がかからなくなった分、スキンケアにお金をかけられる」「似合う服が変わって楽しい」といったポジティブなものばかり。

 染めない決断には勇気が必要。どんな自分になるのか不安もあるかもしれない。でも、変化を受け入れ、変化する自分を輝かせることができたら素晴らしい。日本人の3人に1人は60代以上という時代。年を重ねることにネガティブなイメージしか持てないのでは悲しい。でも、これからは自らの意思でグレイヘアを選択し、前向きに人生を歩んでいく女性が増えるのでは? グレイヘアへの関心の高まりから、そんな希望が感じられる講座だった。