「死を恐れる。それが勇気の源」「リーダーとは希望を配る人のことである」―子どもの一生を豊かにする名言

出産・子育て

公開日:2017/6/29

『子ども超訳 一生大切にしたい70の名言』(根本浩/SBクリエイティブ)

 苦境に立たされる場面で、心に「お気に入りの名言」を持っていると、それが勇気や行動力を与え、解決に導いてくれることがある。わが子がそんな名言を心に持ってくれるなら、親としては心強い。

 ただ、たいていの名言はわかりにくい。「それこそ味や深みがある」という意見があるかもしれないが、わが子に名言が理解できないのは惜しい。『子ども超訳 一生大切にしたい70の名言』(根本浩/SBクリエイティブ)は、70の名言を、子どもでも一瞬で理解できる「子ども超訳」にした。

死を恐れる。それが勇気の源。

 ドイツの小説家であるトーマス・マンの名言を子ども超訳すると、次のようになる。

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死ぬことを怖がるのは、臆病なんかじゃないよ。その気持ちが、生きる勇気を生み出すんだから。

 本書は、さらには名言誕生のきっかけも入れ、名言が発せられた時の情景が浮かびやすくした。トーマス・マンの名言誕生には、次のような背景がある。

トーマス・マンは若い時に、ヒトラーを批判。そこで、ナチスドイツから拷問を受けないために、スイスやアメリカに亡命します。また、愛する妻が肺病にかかり命にかかわってしまいます。このように自分も妻も死に直面して精一杯生きる中で、この言葉を生み出したのです。

 本書では、このような仕掛けで、名言が記憶に残りやすくなっている。臆病な子どもが心にこの名言を持つと、たくましく生きるための勇気を獲得しやすくなるかもしれない。

 今、国を挙げて、次世代の「グローバルリーダー」育成に努めている。大人でもリーダー的なポジションを任されて思い悩むことが少なくないが、グローバルリーダーになることを期待されている子どもたちは班やクラス、チームなどさまざまなリーダーを経験する機会が増えてきている。好き勝手な言動をする集団をまとめるときに、ナポレオンの名言が役立つかもしれない。

リーダーとは希望を配る人のことである。― ナポレオン・ボナパルト(フランス皇帝)

(子ども超訳)

リーダーで大切なことは、言うことを聞かせたり、従わせることじゃない。そこにいる人たちに、ワクワクするような希望の気持ちを同じように持たせることなんだよ。

 この名言は、フランス国民に「自分についてくれば間違いない」という希望を与え続け、一時はヨーロッパ全土を支配したナポレオンが、プレッシャーの中で生み出した。

 将来、人々をワクワクさせてくれるリーダーが現れるよう願いたい。

文=ルートつつみ