女の子が生きていくときに読みたい、いま “売れてる”勇気がでる本【5選】

暮らし

更新日:2017/7/4

 20代後半に差し掛かると、女は人生の「迷走期」を迎えるものだと思う。

 「このまま今の仕事を続けてもいいの?」「なにか資格をとった方がいいのかな?」「それより婚活に力を入れるべき?」「今の彼氏と本当に結婚してもいいの?」「やっぱり子どもは作っておくべきかな?」「でも育児と仕事って本当に両立できる?」「あー、もう、どうすればいいのかわからない!」。自分の生き方に対して多くの選択を迫られる時期だから、いろいろと考えあぐねてよくわからない方向に進んでしまうのだ。

 そこで、人生の「迷走期」を迎えた女子たちに、それでも一歩踏み出す勇気を与えてくれる話題の新書5選を紹介しよう。
 

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「なんだかモヤモヤする……」を解決するには?

 人生の「モヤモヤ」を解決するために、有効な「考え方」を提供してくれるのが、『私って、甘えてますか?』(総合法令出版)だ。著者は、自身のブログ上で読者からの人生相談を募っている斗比主閲子氏。転校を繰り返した幼少期や、いじめからの脱出経験、そして大学で文化人類学や心理学などさまざまな学術分野を学んだことで培われた“人間観察力”によって、相談者のモヤモヤをクリアにしていく。

 本書の魅力は、悩みの「解決策」ではなく「解決するための考え方」を提示しているところだ。当たり前のことだが、たとえ同じ悩みだとしても万人に共通する魔法のような解決策はないのである。著者は「モヤモヤ」を解決する具体的なステップとして、悩みを明確にしたり細分化したりすること以外に「自分が持っている武器を確認する」という項目を挙げているのだが、迷走しがちな女子は、一度自分の武器を棚卸ししてみるといいのではないだろうか。そうすれば、自分に合わない解決策を講じているせいで、迷走し続けているのだと気付けるかもしれない。

 

自分の足で立って、ダメ男とはすぐ別れる!

 漫画家の西原理恵子氏が、娘が反抗期を迎えたことをきっかけに、自身の半生を振り返る『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』(KADOKAWA)。自身の経験や娘に抱く思いをもとに、すべての女の子に向けた愛あるメッセージを綴っている。本書のなかで著者が繰り返し言っているのは「自分の幸せを男に託さないで、自分の足でちゃんと立とう」ということだ。

 自分の人生を「男でしくじってきた」と振り返る著者。読者に向けても「ダメ男とつきあってもそれを学習してね(でもすぐ別れてね)」と語っている。とくに、子どもたちの父親である「カモちゃん」との生活のは、理不尽な言葉の暴力にあふれていて正直読むのも辛い。だが、そんな経験をしてきた著者だからこそ「女も50をすぎれば、どんな失敗もざっくり笑い話になる」という言葉が胸にどしんと響くのだ。辛いことや悲しいことも、いつかきっと「そんなこともあったな」と笑えるときがくる。そう思うと「迷走してもいいから、一歩踏み出してみよう」と勇気がわいてくるのである。

 

女が自由に生きられるって本当にすごいこと

 日本の男尊女卑の歴史を「夫婦別姓」や「レディ・ファースト」など20個の視点から紐解きつつ、女性自身のなかにある男尊女卑的な価値観を明らかにしていく『男尊女子』(集英社)。著者は『負け犬の遠吠え』『子の無い人生』など、女性の生き方をテーマにした著作を多く持つ酒井順子氏。日本のジェンダーを取り巻く歴史や現状、そして女性自身のなかにある男女差別意識について、心地よいトゲを含んだ筆致で軽快に書き下ろしている。

 本書では、日本における男尊女卑の歴史を「男女雇用機会均等法」成立以前から振り返っているのだが、過去の女性たちがどれだけ理不尽な扱いをされていたのかあらためて見つめ直すと、女が自由に生きられることがどんなに素晴らしいことか実感する。だからこそ、「彼氏が結婚して“くれない”」「“男のくせに”仕事ができない」などと、つい思ってしまう自分のなかの「男尊女子」を自覚すると、少しヒヤッとした。本書を読めば、仕事も恋愛も結婚も出産も、人生の選択肢がたくさんあって、悩んだり迷ったりしてしまうことは、むしろ幸せなことなのかもしれないと思えるようになるはずだ。

 

今の自分を認めてあげることも大切

 『今日は、自分を甘やかす いつもの毎日をちょっと愛せるようになる48のコツ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、合計13万人のフォロワー数をほこる夏生さえり氏が、つい頑張りすぎてしまう人たちに向けて、ゆるく楽しくほがらかに暮らすためのちょっとした工夫を紹介する一冊だ。かつてがんばりすぎて心のバランスを崩してしまった経験のある著者が、昔の自分とがんばりすぎな読者とを重ね合わせ、優しさあふれるアドバイスを送ってくれる。

 本書に書かれているコツは「とてつもなく低い目標を立てる」「アンジェリーナ・ジョリーと比べない」「ポジティブな言葉で悪口を言う」など、自分へのハードルをあえて下げることで、自己肯定感を高めることができるものばかり。悩んで辛い状況に陥っているとき、実は自分で自分を追いつめすぎているかもしれない。どうしても迷走状態を抜け出せないとき本書のコツをひとつでも試してみれば、迷っている自分を受け入れられて、目の前がふっと明るくなるのではないだろうか。

 

迷走してもいい。とにかく一歩踏み出そう!

 堀江貴文氏の最新作『多動力』(幻冬舎)では、人生をもっとワクワクさせるために必要性な「多動力」について、その身につけ方や仕事への応用のしかたが語られている。「多動力」とは「いくつもの異なることを同時にこなす力」のことだ。インターネットがさまざまな産業を横串でつないでいる昨今。さらにIoT(Internet of Things)の登場で業界を区切る“タテの壁”は徐々に溶け始めている。そんな時代に求められるのは、いろいろな分野を軽々とわたり歩く「越境者」。そして「越境者」になるためにもっとも重要なスキルが「多動力」なのだ。

 「手作り弁当より冷凍食品の方がうまい」「電話をかけてくる人間とは仕事をするな」など極端な言い回しが並ぶが、よくよく読み進めてみると「なるほど、たしかに」と膝を打つ話ばかりだ。本書で語られている堀江氏自身の「多動力」は、正直すごすぎてさすがに真似できないと尻込みしてしまうのだが、そんな気持ちを見透かしたかのように続く叱咤激励に、だんだんと「とにかく何か始めなければ!」という心持ちになってくる。そして、自分の行く末に悩んで迷走することも、どこかに一歩踏み出しているのであれば、それはそれでありかもしれないと思える。怖いのは、考えあぐねて立ち止まってしまうこと。停滞するよりは、迷走している方がぜんぜんマシなのだ。

文=近藤世菜