8年ぶりに再会した幼馴染みに体の関係を許してしまったら…大人の恋愛は成立する? WEBで大人気『私達××しました』
更新日:2017/7/5
マンションの隣に越してきたのは、突然いなくなってしまった幼なじみ。紳士で優しかった初恋のお兄ちゃんは、とんだドエロ王子になっていた――。タイトルからして扇情的な『私達××しました』(空あすか/白泉社)。WEBマガジン「Love Silky」で連載中の超人気ラブコメ、第1巻が発売された。
主人公は23歳OLのなち。中学から高校時代、隣に住んでいた“悠兄”と想いが通じ合ったのもつかの間、前触れもなく引っ越してしまった彼との別れがトラウマで、以来8年間、恋愛拒否のコミュ障体質。会社でもしっかり者だが真面目すぎるキャラを確立していたある日、その悠兄が再びお隣さんとして越してくる。勤め先こそちがえど、取引先に転職した悠兄とは職場でもたびたび顔をあわす。これを運命といわずしてなんという、と少女マンガの王道的展開なのだが、かつては6歳年上ということで、未成年相手に自制していた悠兄も、なちが自分を忘れていなかったこと、いまも想いを残してくれていることにくわえて、酔っぱらうと隙だらけというふだんとのギャップを見せつけられ、理性はあえなく吹っ飛んでしまうのだ。
成人した社会人といえど、なちの恋愛スキルは高校生並み。おそらく酸いも甘いも噛み分けたであろう悠兄に、でろでろに甘やかされながら、身も心も大人の女性に育て上げられていくその過程はまさにオトナ女子の理想そのものだ。そして気持ちの上では高校生のように初々しいとはいえ、大人は大人。一人暮らしの隣人同士で終電も気にしなくていいとなれば、ストッパーとなるものは何もない。純愛とエロスが絶妙に溶け合っているのが本書の読みどころなのである。
体の関係を許してしまったがために、お互いの気持ちをはっきり確認しそびれてすれちがったり、相手のことを実はなんにも知らないのだと落ち込んでみたり。互いの環境が似通っていた学生時代とはちがい、大人になってから出会った相手の過去は、みんな案外知らないもの。なちと悠兄も、幼なじみとはいえ、年もちがえば8年間の別離もあり、過去を知りたくてもよけいな詮索になるのが怖くて、不安はどんどん募っていく。知らないことで相手を傷つけるかもしれない、大事にしたいのにどうすればいいかわからない。そんななちの一途さが素直に伝わってくるからこそ、読者も物語にのめりこんで、ふたりの恋模様を追いかけたくなるのだろう。
そして次巻以降も、悠兄の過去をめぐっていくつか波乱が起きそうな予感。意外と天然娘のなちは信じてしまったが、友人の螢斗が口にした“璃沙”という名前が犬のわけがないし、父親の死をまのあたりにしたらしい悠兄の傷もなかなかに深そう。だがきっと、なちの前でだけは素直に感情をさらしてくれるはず。ますます関係を深めていくふたりの行く末と、それにあわせてどんどん濃くなっていく睦みっぷりに、今後も期待していきたい。
文=立花もも