“タコさん”が作るお弁当はどれも絶品! 第5回MOE創作絵本グランプリ受賞作『タコめし』待望の絵本化!
公開日:2017/7/5
絵本の専門誌『月刊MOE』(白泉社)が、絵本界で活躍する新しい才能を募集する「MOE 創作絵本グランプリ」。昨年開催された第5回審査で見事グランプリを獲得した、つきおかようたさんの絵本『タコめし』(白泉社)がこのほど出版されました。
オフィス街からバスで10分の海が見える丘の上でお弁当屋さんを営むタコさんが、せっせとお客さんのお弁当箱にお弁当を詰めてあげるというシンプルなお話ですが、なんといっても「だるま」のような顔をしたタコさんが、ちょっと強面なのに表情豊かでバツグンの存在感。真剣な表情で何本もの足を「さっさか くねくね」と上手に使って大忙しでお弁当をつくる姿はユーモラスで、子どもたちにも人気がでそう!
グランプリの審査員も「タコとだるまをミックスしたキャラクターがいい」(きたやまようこ)、「足をそろえてお茶を飲むタコさんが愛くるしい」(工藤ノリコ)、「マジックインキと半紙を使った技法が心地いい!」(こみねゆら)、「お弁当の具材が、どれもおいしそう!」(どいかや)、「もっと伸びる。その伸びしろに期待」(はたこうしろう)と大絶賛。カラフルでのびやかで、あたたかみもある世界は、見ているだけでなんだか楽しい気分になります。
実はこの本、せっせと働く大人のみなさんにもオススメ。お話も終わりの頃、お弁当が今日も売り切れてほっと一息ついたタコさんのところに、小さなお弁当箱が「おべんとうをつめてください」とやってきます。一度は断ったものの無下にできなくて、結局は自分のお昼ごはんをお弁当にしてしまうタコさん。そのやさしさにぐっとくるのですが、同時に「仕事の喜び」ってこういうものだよなーと、しみじみしてしまうのです。そして仕事を終えて海に帰っていくタコさんを見ながら、「おつかれさま。私も今日がんばったよ〜」と同士にも似た気持ちも抱いたりして…『タコめし』を読みながらの晩酌も、きっと悪くない。
文=荒井理恵