夏休みを自堕落に過ごしてしまわないために、脳に覚えさせる「4つのこと」
公開日:2017/7/31
学生時代、待ち遠しかったことはさまざまだろうが、多くの人は「夏休み」を挙げるはず。学生に与えられる最大の長期休暇であり、この時期に家族旅行など普段は行なえないイベントが実行に移される。しかし同時に長期であるがゆえ、有り余る時間をついつい無為に過ごしてしまうケースも。特に受験生などは「夏を制する者が受験を制する」というように、自堕落な生活をしているとそれだけで致命的だ。もちろん本人は「勉強しなくては」と思っているのだが、体がいうことをきかないのである。なぜ、そうなるのか。それはひとえに「自分コントロール」ができていないからだ。
本書『大人になってこまらない マンガで身につく 自分コントロール』(菅原洋平:監修、大野直人:マンガ・イラスト/金の星社)は、カテゴリーでいえば「児童書」である。しかしこれは子供が読むと同時に、その親にも読んでほしい本だ。
進行役として登場する「ブレインきょうこ」は「子供が自ら『考えて』『決めて』から『行動』しないと意味がない」という。つまり親が口うるさく子供に「勉強しろ」などと指示しても、行動には結びつかないのだ。なぜなら「人にいわれたことはイメージできない」から。子供が「自分の行動は自分で考えて決める」ことが大事なのである。まずはこの点を、親はしっかりと理解しておくべきだろう。
ではそれをふまえて、どうすれば子供が「自分で考えて行動する」ようになるのか。本書ではきょうこに「脳みそなまけボーイ」と指摘された「ヨウタ」をモデルケースとして物語が進行。最初はヨウタの中から、ダラーッとした「もうひとりのヨウタ」が出てくるところから始まる。きょうこいわく、これは「脳の操縦士」。このだらけた操縦士に「たった4つのこと」を覚えさせれば、ヨウタは生まれ変われるという。その4つとは「場所」「時間」「しぐさ」「ことば」である。
まず「場所」とはどういうことか。それは「この場所ですべきこと」を脳に覚えさせることである。例えば机は「勉強する場所」と脳にインプットするために、勉強以外の物を置かないようにするのだ。脳は目の前の誘惑に弱いので、遊ぶ物などが置いてあるとそちらに気が向いてしまう。遊ぶ場所は別に決めるなどして「特定の場所に関係のある物以外は持ち込まないようにする」ことが肝心だ。
次の「時間」とは、脳に「時間感覚」を持たせること。着替えや朝食にどれくらいかかるか把握し、タイムスケジュールを組むのだ。また脳は、時間によって得意なことが違う。例えば起床から3~4時間後は頭が冴えているので計算や暗記をするなど、脳にとって効率のよい作業をすべきなのである。
さらに次の「しぐさ」は、「自分の動作に区切りをつける」こと。つまり食事なら「いただきます」で始まり、食器をさげて終わりというように、動作の始まりと終わりを脳に意識させるのだ。これにより行動にメリハリがつき、ダラダラと時間を使うこともなくなる。他にも手本となる人の行動を見るのも、脳によい影響を与えるという。
最後の「ことば」。これは脳に「よいことば」を聞かせるというもの。例えば「できなかったこと」を愚痴るのではなく、「できたこと」を口にするのだ。そして失敗を口にする場合でも、修正点を具体的にすることが重要。「寝坊した」ではなく、「5分寝坊したから今度は5分早く起きよう」という感じにすれば、脳も理解しやすいのである。
このような方法論は子供に限らず、大人にも有効ではあるが、より脳が柔軟な子供時代に身につけやすいのも事実である。子供の時分に脳が己の行動を冷静に考えて「自分コントロール」ができるようになっていれば、大人になってから感情に任せて暴言を吐くなどの失態も回避できるに違いない。
文=木谷誠