読んだら必ず後悔する“激怖”ホラー・グロマンガ5選!

マンガ

更新日:2017/10/27

 気象庁の発表によると、この8月は全国的に「猛暑」となる見込みだという。日中はもちろん、夜も暑さが引かず、寝苦しさに悶えることになりそうだ……。

 そんな季節に読みたいのが、「ホラーマンガ」。ページをめくれば背筋がひんやり、ゾーッとする展開はまるでクーラーいらず。

 そこで今回は、夏の夜を涼しくしてくれるホラーマンガを5作品ピックアップしてみた!

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■「読まなきゃよかった」の声が多数

『外れたみんなの頭のネジ』(洋介犬/泰文堂)※3巻まで発売中

 ネットでいま話題を集めているのが、『外れたみんなの頭のネジ』(洋介犬/泰文堂)。作者の洋介犬さんは“わずか30秒で背筋を凍らせるホラー作家”と呼ばれており、ブログ「イヌギキ」では身の毛もよだつショートショートを発表してきた。

 そんな洋介犬による本作は、連載型新作マンガ配信サービス「GANMA!」で連載中のシリーズ型ホラー。女子中学生・ミサキが、「狂っている……」としか言いようのないできごとに遭遇するさまを描いている。

 本作の特徴といえば、“人怖”。幽霊や化け物などは登場せず、狂ってしまった人たちの理不尽な恐怖をテーマにしているのだ。病気で亡くなる息子に対し「金と労力の無駄だった」と悲しむ母親、一生語り継がれるための「自殺場所」を探す同級生……。隣に住んでいる人は大丈夫だろうか? そんな読後感を味わうことができる名作だ。

■山に潜む怪異の正体は?

『モンキーピーク』(粂田晃宏:作画、志名坂高次:原作/日本文芸社)※2巻まで発売中

 ネットでは“山怖”という怪談のジャンルがある。文字通り、山を舞台にしたホラーなのだが、その特徴は得体の知れない怪異に遭遇するということ。山の中という非日常の中で訪れる恐怖は、日常におけるそれの何倍も怖いものだ。『モンキーピーク』(粂田晃宏:作画、志名坂高次:原作/日本文芸社)もそんな作品。

 藤ヶ谷製薬36名は「結束を高めるため」という名目で登山レクリエーションに参加する。しかし、そこに現れたのが大きなナタを手にした猿のような化け物。そして、疲労から思うように動けなくなった社員たちは、次々と惨殺されていく……。

 第2巻では社員同士の不信感や対立にスポットライトがあてられ、怪異による恐怖に加え、緊急時の人間心理の恐ろしさも描かれている。どこにも逃げ場がない状況におかれてしまったら、自分ならばどうするのだろう? そんな疑問を抱きながらの読書は、二重の恐怖だ。

■金魚ってこんなにグロいのか

『渋谷金魚』(蒼伊宏海/スクウェア・エニックス)※2巻まで発売中

 得体の知れない怪異といえば、『渋谷金魚』(蒼伊宏海/スクウェア・エニックス)も外せない。本作はそのタイトル通り、「渋谷」に「金魚」が現れたことによるパニックを描くホラーだ。ここで「金魚って……」とバカにした人、それは本作を読んで後悔することになる。

 渋谷に突如として現れたのは、人間の何倍もある金魚たち。しかも、なんと人を喰らうのだからバカにはしていられない。空中をふわふわと泳ぎながら、猛スピードで人間に近づき、バクっと一口。その圧倒的な力に、人類は無力感に打ちひしがれるのだ。

 本作の魅力は、これでもかというほどのグロテスクな描写だろう。人間が喰われるシーンはもちろん、普段はかわいらしいデメキンやランチュウも巨大化するとこんなにも不気味なのだ。

 物語はパニックになった渋谷を舞台に、オムニバス形式で描かれる。第2巻で窮地を覆すヒーロー的存在が登場するが、どうやら彼も問題ありのようで……。金魚を相手取ったサバイバル劇の行方から目が離せないだろう。

■食物連鎖が崩れた時……

『食糧人類―Starving Anonymous―』(イナベカズ:作画、蔵石ユウ:原作、水谷健吾:原案/講談社)※3巻まで発売中

 人類が喰われる。そこに恐怖を感じるのは、ぼくらのなかに「食物連鎖のトップにいる」という意識があるからだろう。自分たちが“食糧”になるはずない。そんな常識が覆されたとき、そこに想像を絶するような恐ろしさが芽生えるのだ。

 『食糧人類―Starving Anonymous―』(イナベカズ:作画、蔵石ユウ:原作、水谷健吾:原案/講談社)は、そんな食物連鎖の常識を根底からひっくり返したホラー。作画と原作は前作『アポカリプスの砦』(講談社)でも恐ろしいゾンビものを生み出した名コンビだ。

 ある日、帰宅途中で拉致されてしまった高校生の伊江とカズ。気がつくと、見知らぬ工場に。やがて目を凝らして見えてきたのは、この世の地獄ともいえる光景だった。そこは人が人として扱われない世界。冷凍保存され“肉”として切断される、家畜のように“生殖活動”をさせられる、そして、巨大なカマキリやイモムシの化け物に“餌”として差し出される……。

 物語を追うごとに、施設と国家のつながり、その陰謀が徐々に明らかになっていき、展開はよりスピーディに。“食物連鎖”をホラーに転換させた、ディストピア的ホラーマンガだ。

■2ちゃん発のホラー金字塔

『師匠シリーズ』(片山愁:作画、ウニ:原作/少年画報社)※5巻まで発売中

 最後に紹介するのは、2ちゃんねるで絶大な支持を集めた“ネット発ホラー”の金字塔『師匠シリーズ』(片山愁:作画、ウニ:原作/少年画報社)。大学生の“僕”とその先輩である“師匠”が、さまざまな怪異に遭遇する顛末を描いた作品だ。

“師匠”は強い霊感を持つオカルトマニア。語り部である“僕”はそんな彼のことを訝しみながらも慕っており、日々想像もつかないような現象に巻き込まれていく。

 本作が面白いのは、時に“恐怖に対する哲学”が織り込まれているところ。人間はどうして恐怖を感じるのか。なぜ、いま怖いと思っているのか。その感情の根源を揺さぶることで、これまでのホラー作品にはない、新しい恐怖を生み出すことに成功している。

 また、謎が謎を呼ぶ展開も見もの。時系列が行ったり来たりするので、はじめは戸惑うかもしれないが、何度も読み返すたびに作品世界の奥深さに浸ることができるだろう。ただし、深淵を覗き込みすぎて取り込まれないように注意を。

 今回紹介したのはどれも5巻未満のものばかり。一晩でさっと読むことができるだろう。寝苦しい夜のおともにはうってつけだ。……ただし、眠れなくなってしまっても、それは自己責任で。

文=五十嵐 大