突然の「死刑」宣告から暴力と麻薬が蔓延する刑務所へ―“地獄の刑務所”に14年間服役していた日本人男性の手記

社会

公開日:2017/8/25

 知られざるアジアの刑務所の内側を覗き見ることができる『求刑死刑 タイ・重罪犯専用刑務所から生還した男』が、2017年7月27日(木)に発売された。

 タイ国の首都バンコクの北方に位置するノンタブリー県。この地にタイ全土の犯罪者たちから恐れられている刑務所、「バンクワン刑務所(Bang Kwang Central Prison)」がある。懲役30年以上の長期受刑者、終身刑者、そして死刑囚が収容される重罪犯専用の刑務所だ。同書はタイ版アルカトラズ刑務所とでも言うべきバンクワン刑務所で14年間服役していた、日本人受刑者の手記を元にした一冊。

 手記の主である“男”は、裏ビジネスのほころびからタイの空港で身柄を拘束される。そして言葉もわからないまま臨んだタイの刑事裁判で、死刑の求刑を受けてしまうことに。犯罪渦巻くバンクワン刑務所に入り、殺人犯や麻薬密売グループの中で10年以上にわたるサバイバル生活を送ることになった。

advertisement

 刑務所内で飛び交う1000バーツ札、暗躍する麻薬密売グループ、囚人たちからワイロを受け取る悪徳刑務官。終わりの見えない長すぎる刑期の中、たえまない絶望に襲われる“男”を支えたものは何だったのか―。

 暴力と麻薬が蔓延する「地獄の刑務所」から無事に生還した著者による獄中記。刑務所内で一体何が繰り広げられていたのか、著者はどうやって生き延びたのか、同書を手に取って確かめてみよう。

竹澤恒男
1952年生まれ。兵庫県神戸市東灘区出身。職を転々とした後、栃木県O市でアジア雑貨店を経営。仕入れのために日本とタイを行き来するうちに、ヤーバー(錠剤型覚せい剤)の密輸に手を染めるようになる。2002年12月、バンコクのドンムアン空港で逮捕され、一審で求刑死刑、判決終身刑。二審で懲役30年に減刑され、タイのバンクワン刑務所に服役する。2016年9月、服役14年で、特赦により釈放帰国。現在は栃木県に戻り、飲食店の開店準備に追われている。帰国後に始めたブログ「南獄手記番外編」では獄中情報の他、様々な情報を発信している。

※掲載内容は変更になる場合があります。