あの夜、実際「やれたの?」「やれなかったの?」3つの男女の駆け引きの行方とは?
更新日:2017/8/21
勇気を出して引き止めていれば、思い切って手を繋いでいれば、もしかしたら……そんな夜の経験はありませんか? 少しの勇気と勢いがあれば一歩踏み出せていたかもしれない。でも相手の気持ちはわからないし、踏み出したところで空振りに終わり、結局、何もなかった可能性もある。
そんな「やれたかもしれない」後悔を悶々と引きずる相談者たちが、当時の状況を淡々と説明し、「やれた」か「やれたとは言えない」か、審査員に判定してもらう漫画『やれたかも委員会』(吉田貴司/双葉社)。
「やれた」「やれない」と言うと不躾にも感じますが、本作はそこに至るまでの男女の素直でピュアな機微を描いたもの。単なるワンナイトラブだけではなく、互いに好意を持った男女のもどかしい駆け引きが展開されていくのです。たとえば、なんとなく集められたメンバーで宅飲みをして、いつのまにか部屋に男女2人っきり残されてしまったときの互いの逡巡や、白み始めた空の下、酔っ払ったノリで腕を組んで歩いた朝の「この後どうしよう」感などなど、相談者の語るエピソードは、自分の経験を重ねてしまうようなものばかりです。
そんな「やれたかもエピソード」のなかから、今回は男女の駆け引きにおけるポイントを3つご紹介したいと思います。
●露出度の高い服を着ているからって、「やれる」とは限らない!
会社の後輩と2人きりでカラオケデートをしたという相談者。歌う曲リストまで用意して準備万端だったのに、後輩が突如ミニスカサンタのコスプレに着替えて登場したことで、動揺。露出度高めの衣装の刺激が強すぎてテンパり、その日はなにごともなく終わってしまいます。この話に男性審査員2人は「やれた」の札をあげ、女性審査員は「やれたとは限らない」の札をあげます。「やれたとは言えないのなら、どうしてサンタだったのでしょうか?」と問う相談者に審査員は言い放ちます。
「もしあなたが格闘家の魔裟斗だったら着るでしょ? タンクトップ。身体に自信があったら見せたくなるでしょ、フツーに」
露出度の高い服を女性が着ていると、今日はいけるんじゃないか? と期待する男性もいるのではないでしょうか。しかし、それは女性側のアピールというより、単に自分の身体に自信があるだけ、という可能性が大いにあるそうなので気をつけてくださいね。
●ワンナイトを狙うなら、アパホテルには連れて行くな!
クラブで女性と盛り上がり、熱いキスまで交わした後、その流れでホテルに行くことになった男性。しかし近くにあったアパホテルは満室で、タクシーで道玄坂に移動してもホテルは軒並み空いていない。次第に冷えていく空気感。必死に空室を探し続けるも、女性は「もう帰るね」とあっさり帰ってしまった……。男性陣が「やれた」の札をあげるなかで、またも「やれたとは言えない」の札をあげた女性審査員はこう説明します。
「アパホテルのロビーってすごく明るいんですよ。あれビジネスリゾートホテルなので。薄暗いクラブ内ではわからなかったところも全部見えちゃいますから。ワンナイトには不向きかと」
薄暗く大概の粗を隠してくれるクラブを抜け、いざ蛍光灯のもとで見た現実に、急速に冷めていく興奮……。そうならないよう、くれぐれもホテル選びは慎重に行いましょう。
●「また後日」やれるとは限らない!
彼女の部屋で2人きりでTVを見ていると、彼女のほうから肩に寄りかかり手を絡めてきた。しかし、緊張のあまり何もできずに終わったあの日。当然、次こそは、と考えた相談者ですが、そんなチャンスが来る前にフラレてしまいます。あんなに女性のほうから積極的だったのになぜ? そう考える相談者に「やれたとは言えない」の札をあげた審査員は
「(うまく)いくわけないじゃないですか、後日だなんて。子供の遠足じゃないんですから。大人はいつも雨天決行」
とバッサリ。一度いい雰囲気になったからといって、必ずしも2度目があるとは限らない。後悔しないためにも、そのことを深く胸に刻んだほうがよさそうです。
男性審査員と女性審査員の見解が真っ向から異なる点も、興味深い本書。男女で意見を交わすもよし、「やれたかもしれない」あの日を思い出すもよし。男女の駆け引きについて学びたい人には、ぜひオススメしたい漫画です。
文=藤野ゆり(清談社)