日本の島数はなんと6852! 父島、小豆島…思わず二度見しちゃう「島ならでは」の美しい風景【画像あり】
更新日:2017/9/4
今年の立秋は8月7日なので、暦の上では既に“秋”を迎えた。いやいや、蒸し暑さは相変わらずで、秋らしさなんて感じない、という声が聞こえてきそうだが、季節は確実に移っているようだ。初秋の台風シーズンの幕開けなのか、先日も日本の南海域で長期の迷走をしていた台風5号が、暴風雨を日本列島の広範囲にまき散らしながら縦断していった。そう、“列島”の言葉が表すように、日本は島だけで構成されている国。特に“本土”とか“内地”と呼ばれるような場所に暮らしていると、自身が住んでいるのは島だということを忘れがちだ。
さて、日本にはいったい、いくつの島があるのか。北海道、本州などいわゆる“本土”といわれるところや、無人島も含めて、なんと6852島もあるそうだ(2015年10月現在・総務省統計局のデータによる)。
「日本の原風景」が残る120島
『ニッポン とっておきの島風景』(箭内博行/パイインターナショナル)は、そんな日本全国に点在する有人・無人の島々のうち、「日本の原風景」が残る120島を掲載。それぞれの島の特徴的な自然や、そこで暮らす人々を支えてきた連絡船や建造物などから、島の持つ様々な表情が浮かび上がってくる写真集である。
例えば、海の色ひとつとっても、同じ青ではない。ジェットフォイルが白い波しぶきを上げ、まっすぐ進む東京都神津島の海は群青(P.17)。また、コンクリート打ちっぱなしで何もない桟橋を囲む、鹿児島県平島の海はエメラルドグリーン(P.04)。そしてダイバーに人気があるという沖縄県下地島の海は、まるで光と溶け合ったように、どこまでも透明でキラキラと絶えず輝き続ける(P.61)。
次は、島の暮らしが見える写真を見てみよう。香川県の小豆島にある、黒い屋根の醤油蔵の連なりが印象的な「醤(ひしお)の郷」(P.30)。沖縄県の北大東島では、荒波で船が常に着岸できず、人も荷物も一緒にクレーンで上陸するのが日常の風景(P.120、121)。東京都小笠原諸島の父島も、定期船が唯一の交通機関。出港するたびに、大勢の小型船が沖合まで見送る(P.134)。筆者が以前、聞いたところでは、この父島でのセレモニーには、互いに手を振り、別れを惜しみつつ「また島へ帰ってらっしゃい、いってらっしゃい」という意味合いもあるのだとか。
“軍艦島”で知られる長崎県の端島や日本最北端の有人島も!
他にも先日、世界遺産に登録され話題になった福岡県の沖ノ島、“軍艦島”で知られる長崎県の端島や、日本最北端の有人島である北海道の礼文島の風景など、普段目にすることができないいろいろなタイプの島を見ることができる。原生林や幻想的な夕暮れ、人々の暮らす家屋などに日本らしさを感じたり、逆に日本ではないみたいだと感じる島の景色がいくつもあったりと、ひとページめくるごとに、日本の様々な島へトリップできる一冊だ。
著者の箭内博行氏は「島」「祭」「日本再発見」がテーマの写真家。18年をかけ、国内300以上の島をカメラに収め、フォトエッセイを始めとする島に関する著作が多数ある。少子高齢化により、貴重な島文化が存続の危機にさらされていると懸念し、出版・報道の媒体に島の写真を提供したり、島の自治体のパンフレットを手掛けたり、精力的に島の自然や文化を発信している。
日本でも10月あたりまで海水浴が楽しめる島もあると聞く。また、泳がなくても島の楽しみ方はいろいろある。本書の最後にある「島リスト120」を見れば、各島の特徴や名物、アクセス拠点や定期船の有無などがすぐわかり、写真のページとも連動している。島の写真を見ながら、一時のバケーションに浸るもよし、気にいった島の風景を見るために、旅の計画を立てるもよし。
きっと、まだまだ知られざる“島風景”があるはず。カメラを片手に、自分だけの“とっておき”の景色を探しに行ってみたくなる。
文=小林みさえ
【※参考資料:総務省統計局 第六十六回日本統計年鑑 平成29年 第1章 国土1-1 国土構成島数 http://www.stat.go.jp/data/nenkan/66nenkan/01.htm】