シリーズ累計150万部突破のロングセラー! 脳活に効く「えんぴつシリーズ」最新作は、人を癒し励ます老子と荘子の言葉
更新日:2017/11/11
名作を一文字ずつ丁寧に書き写し、ことばの意味を、体感で知っていく。同時に書くことで脳を活性化させる“脳活”にも効く「えんぴつシリーズ」。2006年の『えんぴつで奥の細道』(ポプラ社)発売以来、本の常識を覆したとしてシリーズ累計150万部を突破した本シリーズの最新作『えんぴつで老子・荘子』(大迫閑歩:著、湯浅邦弘:監修)が発売された。
「まさに日本人の根底に流れる『情緒』の本。目と脳と、手と心と、からだ全体を使って読む本。一字一字をたどりながら、精神の修養をしています」(55歳、女性)などの声が寄せられ、定評のある「えんぴつシリーズ」。実際に、リハビリのために使っているというはがきも多いそうだ。
最新作である本作で扱う老子と荘子は、ともに古代中国の思想家。荘子は道教の始祖ともいわれているが、ふたりに共通しているのはともに「道」を説いたということ。ただし、彼らは決して人を教えで縛ることはしない。監修の湯浅氏いわく「儒教の道徳が人間の努力を推奨するのに対して、老荘の思想は、(略)そんなに頑張ってどうするの、もう少し肩の力を抜きましょう、とでも言っているかのような癒しの書」なのだ。
“無為無欲”を説く「老子」と“世界を柔軟にとらえること”を説く「荘子」の言葉
たとえば「足るを知る者は富む」「大器は晩成す」など今なお知られた言葉を残した老子は、「不言の教え、無為の益は、天下之に及ぶこと希(まれ)なり」と、言葉を発しない、何もなさないことによって得られる利益、つまりは無為無欲について説いている。
一方、荘子といえば「胡蝶の夢」が有名だろう。夢の中でひらひら蝶として舞っていた荘子は、目覚めたあとも、自分が夢を見ていたのか果たして今の自分が蝶の見ている夢なのかわからなくなってしまったという故事。物事には境界があるけれど、ふとした瞬間にそれを飛び越えてしまうこともある、と説く荘子は、世界を自由に柔軟にとらえることを説いた。
そんな2人のことばを、残された書物の一部から引用し、鉛筆でたどっていく本作。記された解説を読みながら、形をなぞっていくだけで、いつしか老荘の穏やかな哲学世界に没入していける。一日一項目、全60日で学びと癒しを体得できる一冊だ。
文=立花もも