コルク代表・佐渡島庸平「この本にひとめ惚れ」
公開日:2017/9/16
『ダ・ヴィンチ』本誌の人気連載コーナー「この本にひとめ惚れ」から、コルク代表・佐渡島さんのひとめ惚れ本を紹介。『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』といった大ヒット作品を世に出した天才編集者・経営者が“ひとめぼれ”した本をチェック!
『魔法をかける編集』
藤本智士/インプレス 1600円(税別)
装丁:いわながさとこ
装画:サタケシュンスケ
編集:ミシマ
編集の仕事は本を作るばかりではない。「本を作ること」とは別の定義の中で編集術を語っている本。編集の仕事は定義が実に難しい。きっと編集者によって異なるのだろうし、いずれも正しいのだろう。
『月と六ペンス』
サマセット・モーム/著 金原瑞人/訳/新潮文庫 630円(税別)
装丁(日本語版):新潮社装幀室
編集(日本語版):川上祥子
安野モヨコさんがリスペクトしているモームの人物描写は、現代でも通用するものに違いない。新訳なら、いっそう現代的に読めるはず。
『リラとわたし ナポリの物語1』
エレナ・フェッランテ/著 飯田亮介/訳/早川書房 2100円(税別)
装丁(日本語版):仁木順平
装画(日本語版):高橋将貴
編集(日本語版):永野渓子
ヒラリー・クリントンにグウイネス・パルトロー……。帯で絶賛している人がすごい! 信頼している作家のひとり、ジュンパ・ラヒリの推薦コメントで読むと決めた。冒頭を読むだけでもすばらしい文章のテンポ、そして一瞬で「キャラが立っている」ことがわかる。
【青山ブックセンターにて彷書】
<プロフィール>
佐渡島 庸平(さどしま・ようへい)●1979年生まれ。南アフリカで中学時代を過ごし、灘高校、東京大学を卒業。2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、クリエイターのエージェント会社、コルクを設立。現在、漫画作品では『オチビサン』『鼻下長紳士回顧録』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『テンプリズム』(曽田正人)、『インベスターZ』(三田紀房)、『昼間のパパは光ってる』(羽賀翔一)、小説作品では『マチネの終わりに』(平野啓一郎)の編集に携わっている。
●twiter:@sadycork
●ブログ:https://note.mu/sady
●コルク
文:田中裕
写真:首藤幹夫