10分で子どもが眠るあの絵本にとってもかわいい続編が登場。悩めるパパ・ママを応援!
更新日:2017/10/20
寝付けない子もコロリと眠ると話題の絵本『おやすみ、ロジャー』。小さいお子さんをもつママならだれもが知っていると思いますが、待望の続編『おやすみ、エレン 魔法のぐっすり絵本』(カール=ヨハン・エリーン:著、三橋美穂:監修/飛鳥新社)と、朗読CDブックもその後発売され、さらにブームが広がっているのをご存知でしょうか。実際、続編と朗読CD付きブックを合わせてシリーズ累計発行部数100万部を超える大ヒットを記録しています。『おやすみ、ロジャー』は、スウェーデンの行動科学者のカール=ヨハン・エリーン氏が、心理学的な要素を盛り込み、ストーリーを読み進めるに従って眠気を催すような仕掛けがしてあります。以前の記事でも紹介したように、目が冴えて仕方ないという子どもでも、読み聞かせによって寝てしまうといううれしい反響がありました。
■とってもかわいいキャラたちが登場
続編の『おやすみ、エレン』も前作同様、赤ちゃんや子どもを眠りへ誘う絵本です。詳しく見ると、前作をさらにパワーアップさせた内容になっています。まず大きな変化は、登場人物のイラストがとってもかわいくなったこと。前作のロジャーもなかなか味のあるキャラだったのですが、今作ではとってもキュートなゾウの女の子が主人公となっています。
好奇心旺盛そうなパッチリお目々のエレンは、大人も子どもも「かわいい!」と思えるはずです。そして同じくストーリー上で出くわす、ネズミやモグラ、オウム、そして前作の主人公のロジャーも、フワフワとしたやさしくかわいらしいタッチで描かれています。イラストは日本人から特に多くリクエストを受けたため、日本人になじみのあるマイルドなスタイルになったそうです。『おやすみ、ロジャー』の絵を見て、「こわいかも」と敬遠してしまった人は、エレンを試してみないと損かもしれません。
そしてストーリーの基本は同じなのですが、さらに「眠りの手法」がパワーアップしています。前作は、ウサギのロジャーがお母さんと「あくびおじさん」に魔法の眠り薬をもらいに行って戻ってくるという話でした。でも今作は、お母さんゾウのもとからお父さんゾウのもとに向かいます。お母さんだけではなく、お父さんという自分を包み込んでくれる存在が増えました。その結果、子どもはいっそう、「大事な人に守られている」という思いをもち、「安心して」眠りへと誘われるのではないでしょうか。お父さんゾウに会うシーンはクライマックスでもあり、とっても心が温まるエピソードでもあります。小さな感動が心にやすらぎを与えてくれます。
■ストーリーを理解できない赤ちゃんへの効果は…
さて、この“魔法”とも呼ばれる絵本。実際に赤ちゃんに効くのでしょうか? この絵本は生後半年から大人まで幅広い年齢が対象とのこと。さっそく拙宅の満1歳の息子にこの絵本を寝かしつけてみることに。
いつも寝るまでに絵本を読んで照明を落とすと、寝苦しそうに寝返りを打つ息子。その日もいつも同様に寝室に入り少し灯りを暗くして、さっそく絵本を読み聞かせることに。残念ながら息子はまだ絵本の意味を理解できない年頃。読み始めだけこちらを向いていましたが、あとは周囲をキョロキョロ。
「うちの子には効かないのか?」と思い、最後のページを閉じることに。そして部屋の灯りを消すと……、なんとグッスリ寝入っている! いつもは何度も寝返りをするのに、すぐさま深い眠りに入りました。
絵本に集中していないからといって、聞いていないわけではなく、実は眠りの言葉が届いていたのかもしれません。寝息を確認してから10分はジッとしていないと、こちらが立ち去る気配を察知して後追いをする息子。しかしその日は、すぐに深い眠りに就いたせいか、5分と立たずに枕元を離れることができました。
■子どもが名前を呼ばれて興奮するときは?
眠りへと誘う要素として、もちろん【なまえ】【あくび】「強調」「ゆっくり」といった読み聞かせ時の演出指示も前作同様に入っています。物語に【なまえ】と出てきたら、読み聞かせている子どもの名前を入れて呼んであげます。自分の名前が呼ばれることで子どもは物語にさらに夢中になるのです。
しかし、この【なまえ】のあつかいに困っている人もいるようです。今作には、著者に寄せられた疑問への答えも収録されています。例えば次のような質問です。
Q うちの子は、お話の中で自分の名前が呼ばれると目が冴えてしまうようです。
A (名前を読み上げることを)嫌がったり、面白がりすぎてしまうようなら、無理に名前を入れる必要はありません。読み飛ばしたり、「きみ」などと読んだり、自由にアレンジしてください。
このシリーズには、『おやすみ、ロジャー』の朗読CDブックと、ネットでダウンロードできるオーディオブックも用意されています。【あくび】をする、といった演技がイマイチ難しいと思っているならば、朗読版を利用するのもありだそうです。
今作も快眠セラピスト・三橋美穂さんの監訳が入っている、いわばプロのお墨付き。この絵本の効果は子どもだけではありません。眠れない大人も寝てしまうと好評なのです。寝付きが悪い大人もプロがおすすめするこの魔法の絵本で、夢の世界へと誘われることでしょう。
文=武藤徉子