首都圏主要都市で「住みたい」街より「暮らしやすい」街を見極める5つのポイントとは?
公開日:2017/9/11
「都心に通いやすくて落ち着いて暮らせる場所に住みたい」と、世間の評判やイメージで選び、住んでみたら現実は違っていた! ということがあるものだ。『首都圏格差 1都3県の本当の実力』(首都圏生活研究会/メディアソフト)は、「暮らしやすい」をテーマに、東京、千葉、埼玉、 神奈川の主要都市を徹底的に分析した、本当に活かせる情報満載の1冊だ。
主要都市ごとに、総人口から犯罪発生件数までの基本データほか、主要乗り入れ路線、現在の街の様子や住み心地、近い将来の街の計画、街の歴史・成り立ち、街の弱点・難点などが挙げられている。
「1都3県の実力を徹底分析」の章では、「人口、教育、治安、所得、健康・医療」を比較している。たとえば埼玉県は深刻な医師不足で、人口10万人当たりの医師数は全国最低であり、一般診療所数も介護療養型医療施設数も全国最低だという。埼玉県に住むことを考えた場合、チェックしたいポイントである。
子育て世代に気になる待機児童問題では、平成28年の資料によると、東京都が全国ワースト1位。首都圏で次に待機児童が多いのは全国ワースト3位の千葉県となる。しかし千葉県は英語教育において特別な取り組みを行っており、なんと中3で全国1位、高3で全国2位という輝かしい結果を出しているのだ。
すべてを満たすのはなかなか難しそうであり、理想の暮らしに合わせての取捨選択が必要になるが、「安全」だけは、誰にも大事なポイントだろう。
本書では、その街の治安を知る方法として、物件選びの際に、駅前や中心街を歩いてみることを勧めている。チェックポイントとして、
・駅前にあるパチンコ屋の数
・古びた公営団地が多い
・大学や私立学校が少ない
・ショッピングモールの客層
・格安ドリンクを売る自販機がある
などが挙げられている。
数あるネットの口コミサイトの中でのオススメは、地元のローカル掲示板「まちBBS」だそう。
たとえば、「住みたい街」ランキングの常連、吉祥寺は、中央線快速で新宿まで16分。京王井の頭線の急行なら渋谷まで18分。駅周辺の商業施設の華やかな充実ぶりの一方、井の頭公園や大学があるという、バランスのいい住環境だ。しかし実際は、「新宿と渋谷のどちらからも離れている」というのが実感。徒歩10分圏内の物件が少ないうえ郊外の割には家賃が高い。しかしこうしたマイナス点も含めて楽しむことができれば、快適な「吉祥寺ライフ」が過ごせると本書は述べる。
プチセレブタウン二子玉川、活気あふれる蒲田、湘南ライフの藤沢、タワーマンションの武蔵小杉、住みよさランキングで5年連続1位の印西、ニューファミリー向けの柏、ブランド小学校と高級住宅街の浦和、交通の便が抜群の大宮、ヤンキーが多く物価が安い草加など、街の意外な魅力や驚きに出会える。自分に合った街を見つけに、知らない街を訪れる感覚で、読んでみると楽しい。
文=泉ゆりこ