えっ、バイト代にも税金がかかるの?…親から子に伝えたい「お金との付き合い方」

出産・子育て

公開日:2017/9/19


■経済・金融を学ぶ前に、身近なお金を知識を身につけよう

 僕の仕事は、さまざまなデータを使って国の経済状態、景気の先行きなどを日々分析したり、レポートを書くことですが、同時に大学で若い学生たちに経済学を教えています。そうした中で気付いたのは、円高円安の違いや、GDPのことはなんとなくわかっていても、自分たちが支払う所得税や住民税や、国民年金の仕組みをほとんど知らなかったり、学生にも身近になっているクレジットカードの利息や、リボ払いの仕組み、さらにはバイト代から所得税が差し引かれていることさえ知らない学生がけっこう多いということです。僕にも高校生の息子と中学生の娘がいますが、日常的に、家庭でこうしたことを教えてきたか、と言われるとちょっと自信がありません。

 経済や金融の基礎も大事だけれど、それ以前に、僕たち大人は、もっと身近な「お金」のことを、社会に出る前の若者たちに、教える責任があると感じています。「お金」とのつきあい方をきちんと知らないままに、一人暮らしを始めたり、就職すると、お金のことで自分が傷ついたり、他人を傷つけることになりかねません。多重債務、カード破産といった悲劇をまねくこともあるかもしれません。

 ただ、こうした「お金の基本」は、なかなか中学校の公民の授業や、高校の政治経済分野の授業では学ぶ機会がありません。経済学の研究者として、またひとりの父親として、ぜひ若い人にたちに知っておいてほしいこと、また、この世代のお子さんを持っているご両親も、こうしたことを折に触れてお子さんに教えてあげてください。そのなかでも、知識がないためにトラブルになりやすいクレジットカード、カードローン、そして給料などについてのポイントをいくつかあげてみました。

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■教えておくべき「お金」の常識

1 クレジットカードは「借金」であること

 大学生になると、未成年でも機能が限定されていても「クレジットカード」の申請ができます。まず、クレジット払いというのは、借金と同じであること、利息・手数料がかかり、金額や支払い期間が長くなるほどよけいにお金を支払わなければならないことを知っておいてください。たとえば、10万円の買い物をして10回払いにすれば、7000円近い手数料がかかることになります。

2 リボ払いは支払いが長期化するリスクがあること

 いくらお金を使っても毎月の支払い額が同じに設定できるということで、分割払い以上に「気軽」「便利」と考える人が多いリボ払い。毎月5000円ずつの返済額だからといって、安心して毎月2万円ずつ買い物を続けていると、当然1万5000円ずつ借金は増え、1年後には18万円の借金になってしまいます。ずっと返済を続けることになるリスクがあることを知っておいてほしいものです。

3 バイト代にも税金がかかること

 バイト代というと「時給×働いた時間」「日給×働いた日数」とだけ考えている人も多く「差し引き金額」が何か知らない学生もいます。所得税が差し引かれて振り込まれることはちゃんと理解しておきましょう。

4 給料の「手取り」「手当て」などの仕組み

 初任給をもらって初めて「あれ?こんなに少ないの?」という人も少なくありません。基本給、各種手当てなどの合計の「額面金額」と、そこから税金、厚生年金、健康保険、雇用保険ほかを差し引いた「手取り金額」の違いを知っておいてください。

5 カードローンや消費者金融を安易に利用しないこと

 「便利」「簡単」の部分を強調するCMが増えていますが、利用は慎重な上にも慎重に。「どうしても一時的に必要な場合」「すぐに返済できる見込みがある場合に」限定することを肝に命じておくべきです。もちろん、各種カードの「キャッシング」も同様です。

6 学生ローンのリスクを知っておく

 親にバレないで借りられる、ということがウリのひとつである学生ローンも、本当ににやむにやまれぬ事情があるとき以外は安易に使わないこと。親に心配をかけたくない、負担をかけたくない、という学生の心情も理解できますが、返済が滞れば、結局は親元に連絡がいき、親にもっと心配をかけるだけ。遊ぶためのお金を学生ローンで借りる、なんてもってのほかです。

7 本当に困ったときの相談先を知っておく

 親には相談できない、といったお金のトラブルがもし起きてしまったら、学生ならまず学校の相談窓口、それもダメなら消費生活センターなどに必ず相談を。ひとりでなんとかしようと思ってはいけません。「どこに相談したらよいかわからない」という状態でも、消費生活センターなどは相談に応じてくれます。

文=citrus 第一生命経済研究所経済調査部首席エコミスト 永濱利廣