【「男飯」漫画特集(3)】洒落たものを作りたいなら「パン」はいかが? 『聖樹のパン』で実践的なパンのレシピを学ぼう【作ってみた!】

マンガ

公開日:2017/9/30

『聖樹のパン』(山花典之:原作、たかはし慶行:作画/スクウェア・エニックス)

 ひとくちに「男飯」といっても、どのような料理を指すのかは明確ではない。ひと昔前は「豪快な料理」というイメージがあり、肉の塊をそのままローストしたり、釣った魚をその場で捌いたりなどの姿が思い浮かんだが、現在では魚を捌ける男性諸氏も、そう多くはないだろう。私もできない。逆にフレンチやスイーツといった、小洒落た料理を得意とする向きが増えてきているようにも感じる。そういった料理男子に勧められそうな「男飯漫画」を考えたとき、該当しそうなのが『聖樹のパン』(山花典之:原作、たかはし慶行:作画/スクウェア・エニックス)である。

 主人公の「ほしの聖樹」は東京のパン屋で働いていたのだが人間関係などで悩み、辞めてしまう。失意の中、彼は北海道のベーカリーペンションにパン職人として呼ばれることに。「人に生きる力を与えるパン」を作りたいという聖樹は、ペンションの美人姉妹・羽咲と桔音に必要とされたり、出会った人々が自分のパンを食べて笑顔になるのを見たりすることで、徐々に前向きさを取り戻していく──という内容だ。

 主人公の成長物語なのでストーリー重視の作りではあるが、登場するパンによってはレシピも掲載されているので「再現してみたい」という場合には重宝するはず。しかし、北海道が舞台なので扱う材料は北海道産のものが多く、入手が難しいこともありそうだ。またパンを焼成するためには、やはりそれなりの設備が必要となってくるケースもあり、すべてのレシピを気軽にチャレンジできるとは限らない。ウチも非力なオーブンレンジがあるのみで、200度以上の焼成が必要なレシピは再現不可能である。しかしそれでも試してみたいレシピは登場するので、思い切ってチャレンジしてみることに。

advertisement

【甘酒雑穀パン】

 これは乳製品や白砂糖へのアレルギーでパンを食べられない母娘のために、聖樹が考案した健康志向の高いパン。乳製品と白砂糖を一切使わず、甘みを出すために「甘酒」を使用するなどさまざまな工夫が凝らされている。材料は「a.強力粉200g」「b.水70cc」「c.塩2.4g」「d.イースト4g」「e.甘酒40g(市販のノンアルコールのもの)」「f.雑穀40g(茹でた雑穀40gという意味)」「g.太白ごま油14g」以上である。作りかたは以下。

1.雑穀を煮る。市販の雑穀ミックスを水と一緒に鍋に入れて加熱。
2.コトコト15~20分茹でたら、ザルにあけて水で洗う。
3.a~fすべての材料をボウルに入れて、はじめはゆっくりこねる。
4.15分ほどのばして、こねて、たたく。
5.生地にラップをして、一次発酵60分。
6.60gに分割してベンチタイム15分。ぬらして固くしぼった日本てぬぐいをかぶせておく。
7.成形する。
8.二次発酵。オーブンに入れて35度で40~60分。
9.190~200度で10分焼いて完成。

 このレシピではバターの代わりに「太白ごま油」を使用しているが、手順の中に投入のタイミングが書かれていなかった。ゆえにちょっと調べたところ、油類はグルテンの生成を阻害する作用があるようで、今回はこねて一次発酵させる前、つまり4と5の間に使用した。パンはもちもちふんわりと仕上がっていたので、正解だろうと思われる。

 最初、パン作りは難しいだろうと身構えていたが、やってみると意外に作れるものである。もちろん技術や機材の必要なものも多いが、簡単なレシピをひとつでも身につけておけば、何かの際にお披露目することで料理男子の面目躍如に繋がること間違いなし!

調理・文=木谷誠