丸のみが原因で死んでしまうニシキヘビ!? ちょっぴり笑えて、泣けるいきもの図鑑

暮らし

更新日:2017/10/23

『泣けるいきもの図鑑』(今泉忠明:監修/学研プラス)

 時々、無性に涙を流したくなる。そんな時、私はテーブルにお酒を広げアニメ『ONE PIECE』の感動的なエピソードを見て、涙を流す。泣いた後は、それまで抱えていたストレスがすっと消え、スッキリした気分になるから不思議なものだ。

 私のように、泣いてストレス解消をするという人が最近増えているようだ。このように涙を流し、心のモヤモヤを解消する「涙活」が近年話題となっているそう。

 人にとって「泣く」ことはとても身近なものだ。悲しいことが起こる、あるいは感動した時に、私たちは自然と涙が出る。そして、自分以外の人やモノに想いを馳せ、涙を流すのは、人間だけなのだそう。『泣けるいきもの図鑑』(今泉忠明:監修/学研プラス)は、様々な動物の「泣ける」生き様が掲載されている。具体的には動物の一生、からだ、子育て、絶滅の記録を収録。彼らの姿に想いを馳せて、ただ泣けるだけでなく、思わずクスッと笑ってしまう悲しさもあり、色々な楽しみ方ができる。

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 以下に、私の独断と偏見で気になった動物の生き様をいくつか紹介したい。

■【泣ける一生】ニシキヘビ

 身体が大きく、力も強いニシキヘビ。自分の身体より大きな動物も“丸のみ”してしまう恐ろしいヘビだ。しかし、なんとその“丸のみ”が原因で死んでしまうこともあるのだとか。

 背中に鋭い針をもつヤマアラシを飲み込んだ際は、針が体内で刺さってしまい死に至ったことがあるという。さらに、とある動物園でエサとしてヤギを与えたところ、ヤギの角がニシキヘビの腹を裂いてしまったそう。生きるために食べたのに、食べたことが原因で死んでしまうなんて、何とも悲しい末路。そして、あまりにも痛そうだ。強欲は身を滅ぼすということだろうか…。

■【泣けるからだ】ジャイアントパンダ

 上野動物園で赤ちゃんが誕生し、ますます注目を集める人気者・ジャイアントパンダ。しかし、その人気者のからだには知られざる秘密があるという。

 パンダといえばササ。彼らは美味しそうにササを食べているが、元々動物の肉を食べるクマの仲間であるため、食物繊維が多いササは上手に消化できないそう。加えて、ササの葉は鋭いため、消化ができないと腸を傷つけてしまう可能性がある。そうならないため、特殊な粘膜で腸全体を覆っているのだ。

 そんな粘膜を月に一度、糞と一緒に排出するのだが、その時すさまじい激痛が走るのだとか。そして、本書イラストのパンダの苦しむ姿に“もの悲しさ”、クスッと笑ってしまいそうな“可笑しさ”を感じさせる。

■【泣ける子育て】チンパンジー

 人間の世界では働き過ぎで過労死してしまうということがあるが、なんと、チンパンジーの世界でも過労死が存在するという。

 チンパンジーの母親は約4年間ずっと子どもを抱きながら育てる。しかし、その間に母親が死んでしまうと赤ちゃんの兄・姉が面倒を見るそう。赤ちゃんを四六時中抱きながら生活するのは大人のチンパンジーでも大変なこと。ましてや、まだ子どものチンパンジーが子育てをすることで疲労が重なり、その結果、過労死することもあるという。チンパンジーの話とはいえ、母の偉大さは万国、いや生物共通であることを思い知らされる。

 本書では、他にも泣ける実話として、宇宙実験でロケットに搭乗させられた犬・ライカの話や、ミイラになった我が子を大事に抱えて離さない親サルの話など様々。彼らの気持ちを想像するだけで目が潤んでくる。ちょっぴり笑えて、泣ける本書。「涙活」に使ってみては?

文=冴島友貴