瑛太「俳優として、坂元裕二さんの一言一言を信じています」
更新日:2017/10/6
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、映画『リングサイド・ストーリー』で売れない役者を演じる瑛太さん。今作以外にも何かと縁のあるプロレスについて、主演ドラマ『最高の離婚』『それでも、生きてゆく』でタッグを組んだ脚本家・坂元裕二の『往復書簡 初恋と不倫』について語ってもらった。
実はプロレスと関わることの多い瑛太さん。ドラマ『まほろ駅前番外地』では覆面レスラーに扮し、『最高の離婚』でもDDTプロレスリングの高木三四郎社長に技をかけられ、『ハロー張りネズミ』では新日本プロレス・後藤洋央紀選手と共演。プロレスというものを、瑛太さんはどう見ているのだろう。
「命がけで、ものすごく肉体を使う舞台、みたいな……常に見られることを意識して“演じている”ということでもありますよね。だから皆さん、すごく演技がうまかったです。自然でしたね」
今回選んだ本『往復書簡 初恋と不倫』は、やはり俳優として「自分が演じるなら」と想像しながら読んだという。
「それで最後まで読んだら……もうこれ、すでに朗読劇がやられているんですよね(巻末に公演記録がある)。だから、読み終わった時、実はちょっとイラっとしてしまって(笑)。しかもキャストの方たちがすごくいいですよね。今回再演した時は太賀さんだったんですか。……またいい俳優さんじゃないですか。やりたかった!」
本気で悔しがるほどに、坂元さんのセリフへの、瑛太さんの思い入れは強い。
「今まで味わったことのないような感覚に陥ることができるし、俳優として坂元さんの一言一言を信じています。また僕を書いてほしいなあと思います」
ただ、坂元さんをよく知るだけに、こんな弊害が……。
「僕は基本的に、顔を明かしていない作家さんのものを読むほうが好きなんですよ。その人の顔が浮かんでしまうので。この本(『往復書簡 初恋と不倫』)を読んでいても、女の人のセリフなのに、坂元さんの顔がずっと浮かんでいて……それだけセリフが“坂元さん”だということなんですけどね(笑)」
(取材・文:門倉紫麻 写真:干川 修)
映画『リングサイド・ストーリー』
監督:武 正晴 出演:佐藤江梨子、瑛太、有薗芳記、田中要次/高橋和也/近藤芳正、余 貴美子ほか 配給/彩プロ 10月14日(土)ロードショー
●売れない役者・ヒデオを信じて支えるカナコは、プロレス団体の裏方、その後K1の広報として働くことに。だがヒデオは仕事をすっぽかすうえ、K1チャンピオンに喧嘩をふっかけ、リングで対決することに……。プロレスラー・黒潮“イケメン”二郎、格闘家・武尊の演技も光る。
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