暴飲暴食アラサーOLの末路とは? 擬人化されたオモシロ“栄養素たち”が、無知なダイエッターを健康に導く!

暮らし

公開日:2017/10/7

『世界一やさしい! 栄養素図鑑』(牧野直子:監修、松本麻希:イラスト/新星出版社)

 10年ほど前、私は人生初のダイエットをしたことがある。当時私の体重は80キロを超えていたのだが、「とにかく揚げ物や炭水化物を控える」「カロリーを摂らない」という、無に等しい知識のもとに勧めていた。その結果、35キロのダイエットに成功。しかしながら、肌はくすんでやつれていたし、体調は常に悪いし、全体的にカサカサしてるし、不眠症にまで陥っていた。なんとも不健康なダイエット生活だった。

 今回『世界一やさしい! 栄養素図鑑』(牧野直子:監修、松本麻希:イラスト/新星出版社)を読んで、その当時のことを思い出して無性に悔しくなってしまった。なぜあんな中途半端な知識だけで、ダイエット街道を突っ走ってしまったのかといえば、実際のところ「栄養バランスの本とか読むのが面倒くさかった」この1点に尽きるのである。あの頃にこの本があったなら……私はもっと健康的に痩せていただろうし、現在もその体型をキープし続けてきたに違いない。(希望的観測)

 本書は、タイトル通りとても簡単に栄養についてを教えてくれる。主人公は、ストレスで暴飲暴食しがちな“アラサーOLの乱子ちゃん”。彼女が美容と健康を手に入れるため、彼女の体内にある「乱子タウン」の町内会長であるネコが、さまざまな栄養素を紹介していく……というのが大筋の流れである。

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 栄養素は擬人化されたキャラクターとして描かれ、体内で働く様子がわかりやすくマンガと文章で説明されている。例えば、老化から体を守ってくれるビタミンEは“年齢不詳の美魔女”。これにより、美容のために働く栄養素であることがわかる。タンパク質はマッチョな土木作業員だが一ヵ所に定住はしないタイプ。頼り甲斐はあるが、体内に蓄積ができない栄養素だということが理解できるだろう。

 さらに、マンガの中では擬人化された栄養素の人間関係まで描かれている。これにより、栄養素同士の相性や働き方の違いがスッと頭に入ってくる。例えば、ビタミンB群はお父さん・お母さん・子ども8人の大家族。それぞれが助け合いながら働いている。要は一つずつだと効果が発揮しづらい栄養素なのだ。また、優しいぽっちゃりお兄さんである脂質は、ダイエット中の女性に敬遠されがちだが、実は脂溶性ビタミンのビタミンAにはモテモテ。つまり、ビタミンAは脂質がいると働きが活性化するわけだ。

 必須ではないが健康をサポートしてくれる栄養素の話も興味深い。マスコミで取り上げられてブームにもなったポリフェノールやカプサイシンなどが、本当はどんな作用を引き起こすのか知らない人が殆どだろう。漠然とした「体にいいらしい」ではなく、具体的な働きをマンガで示してくれるため、今までなんとなくで摂取してきた栄養素にも、きちんと意味を見出すことができる。

 「栄養素図鑑」は、栄養に対して知らないことだらけな人こそ、生活を改善するきっかけにできる一冊だと思う。この本をすべて読み終わった後、私は一念発起。今度こそ、失敗しない健康的なダイエットをしようじゃないか、と意気込んでいる状態だ。とりあえず今夜の献立は「栄養素図鑑」がもたらしてくれた知識をもとに組み立ててみよう。

文=もちづき千代子