自ら命を絶った小説家は理想の世界で生きたかった―“文学界のマリリン・モンロー”の世界を追う3カ月連続ビッグプロジェクト始動!
公開日:2017/10/21
2017年はカナダ建国150周年という記念すべき年。この秋「パルコ」は、カナダ・ケベック州生まれの女性作家、ネリー・アルカンにフォーカスを当て、書籍×映画×舞台の3カ月連続ビッグプロジェクトを始動。『ピュタン -偽りのセックスにまみれながら真の愛を求め続けた彼女の告白-』ネリー・アルカン(著)・松本百合子(訳)がPARCO出版より2017年9月30日に発売された。
2001年にフランスの名門出版社へ原稿を送ると、わずか2週間で出版が決まり作家デビューを果たしたネリー・アルカン。デビュー作『ピュタン ~偽りのセックスにまみれながら真の愛を求め続けた彼女の告白』(原題:PUTAIN)は、仏文学界で権威のある文学賞にノミネートされ、一躍有名作家に。同作がオートフィクションだったため、元高級娼婦という彼女の経歴、そして彼女の美貌も多くの注目を集めることになった。
しかし、作家デビューから8年後の2009年9月、彼女の人生は幕を閉じてしまう…。当時36歳だった彼女は、自宅のアパートで首つり自殺。小説家として生きた8年間で、ネリーは心の内側に秘めた思いの丈を爆発させ、強烈で目をそらしてしまいそうになる作品を残した。彼女が小説の中で紡いだ言葉には、彼女の中で渦巻いている痛みや矛盾、葛藤が織り込まれている。まさに自分の中で燃えたぎる情念とともに吐き出された言葉たちといえるだろう。
ここまで熱く生きた彼女を伝えるため、本・映画・舞台と3種のメディアを通したプロジェクト「Discover Nelly Arcan(通称:DNA)」が、この秋3カ月連動企画として実施されることに。9月30日(土)には彼女のデビュー作『ピュタン』をパルコ出版から発売。10月21日(土)には、映画「ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で」がYEBISU GARDEN CINEMA他にて全国順次ロードショーされる。同作はネリーの半生を描き、昨年トロント国際映画祭にてプレミア上映された作品だ。
11月4日(土)には松雪泰子などが出演し、カナダ人のマリー・ブラッサール演出で「この熱き私の激情 ~それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌」が天王洲 銀河劇場他にて上演。この舞台は、小説『ピュタン』他、彼女が書き残した小説の言葉をコラージュした舞台となる。10月2日(月)に開催されたプロジェクト発表会見に登壇した松雪のコメントが届いているので紹介しよう。
今回は演出家のマリーのもと、綿密に繊細に創り上げていく舞台であり、とても集中力が必要になる作品なので、すばらしい作品になるようにしたいです。
(ネリーを一言で表すならば?)「崇高な光の中に存在する混沌」というイメージですね。「ネリー・アルカン」の持つ言葉はすごく深くて、突き刺さってくるものが多いです。彼女は「死」を選んだのですが、本当はそうではない、理想の世界で生きたかったという想いが痛いほど伝わってきます。
(女優として普段から持つコンプレックスについて)ものすごくたくさん睡眠をとらないといけなくて、短時間の睡眠で元気に働けると本当は良いのですが、たくさん充電しないといけないところがコンプレックスですね。
(演出家マリーの印象については)今はお稽古の初期段階で、台本や自分の演じるネリーの担当セクションへの解釈を深める作業をしていますが、マリーからは「何かこうしてほしいというオーダーはしません。ただ、それぞれに導くソースとなるものを提案するので、自分たちの感性で生み出していただけたらと思います。」と言われています。
部屋はそれぞれ別々で、お互いに会話をするシーンはないのですが、全員で呼吸を合わせなくてはいけないパートもあって、信頼関係がすごく大事になるなと思っています。助け合って良い作品にできたらと思います。松雪泰子
劇的な人生を送ったネリー・アルカン。彼女の残した言葉を、小説のみならず映画や舞台を通じて感じてほしい。
<小説>
タイトル:「ピュタン-偽りのセックスにまみれながら真の愛を求め続けた彼女の告白-」
著:ネリー・アルカン
訳:松本百合子
定価:¥756(税込)
好評発売中
PARCO出版
<映画>
タイトル:「ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で」
2017年10月21日(土)YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国順次ロードショー
配給:パルコ
監督・脚本:アンヌ・エモン
プロデューサー:ニコール・ロベール
出演:ミレーヌ・マッケイ/ミカエル・グアン/ミリア・コルベイユ=ゴーブロー
(C)FILM NELLY INC.2016
◆映画「ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で」公式サイト
http://nelly-movie.com/
<舞台>
タイトル:「この熱き私の激情 ~それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌」
原作:ネリー・アルカン
翻案・演出:マリー・ブラッサール
翻訳:岩切正一郎
出演:松雪泰子、小島聖、初音映莉子、宮本裕子、芦那すみれ、奥野美和、霧矢大夢
東京公演:2017年11月4日(土)~19日(日)天王洲 銀河劇場
広島公演:2017年11月23日(木・祝)JMSアステールプラザ 大ホール
北九州公演:2017年11月25日(土)~26日(日)北九州芸術劇場 中劇場
京都公演:2017年12月5日(火)~6日(水)ロームシアター京都 サウスホール
豊橋公演:2017年12月9日(土)~10日(日)穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
◆舞台「この熱き私の激情」公式サイト
http://www.parco-play.com/web/play/gekijo2017/
※掲載内容は変更になる場合があります。