「“手に職”は食いっぱぐれない」は昔の話!? 弁護士・歯科医師のウラ事情
公開日:2017/10/30
世はまさに情報主義社会だ。正しい情報を得るリテラシーがないものは情報弱者――「情弱」と蔑まれる。情報強者は手に入れた情報を最大限に生かし、利益を生む、そんな構図がもはや当たり前となった。
とはいえ、知りたい情報というのは意図的に隠されることも多い。だが、隠された情報を多く知っていれば、賢い選択をする際に大きな指針となってくれるはず。
そんな私たちの身近にある「知られたくないウラ事情」を紹介しているのが『知られたくないウラ事情「不都合な真実」 世の中の仕組み&カラクリ』(神樹兵輔/ぱる出版)だ。ちょっとお堅い「報道」「政治」「高齢化社会」のウラ話から、「占い」「宝くじ」「ガス料金」など身近なものまで幅広く収録されており、「え、そうだったの?」と思わず声に出してしまう内容も多い。
そこで本書に紹介されている「知られたくないウラ事情」をいくつか紹介したい。
■代用魚や成型肉といった加工・替え玉食材のウラ事情
ブラックタイガーの代用食品として売られている「バナメイエビ」が、かつてメディアを賑わせた。スーパーで売られている9割のシシャモは「カペリン」、銀ダラは「メルルーサ」という代用魚。現在スーパーなどは表示義務が課されたため、代用魚の名前をよく見るという人も多いはずだ。
なぜ、このような代用品が世に溢れるようになったのかというと、ズバリ安いから。価格競争で安くしないと商品が売れないデフレ傾向の日本。いかにして安く、美味しい商品が提供できるか、小売業ではカギとなっている。
他にも「本物そっくりの成型肉」「古米、古々米がおいしいお米に早変わりする方法」といった替え玉・代用食材も解説されている。企業の涙ぐましい努力と、日本の技術力の高さ、“本物”と偽らなければ売れない日本人の本物志向にビックリだ。
個人的には身体に害がなければ、安くて美味しいのは大歓迎なのだが…いかがだろうか。
■「“手に職”は食いっぱぐれない」は昔の話!? 弁護士・歯科医師のウラ事情
専門知識や専門技術をもっていれば生活に困らない、というのはよく聞く話。しかし、どの職業を目指すか、正しい情報を得なければ「こんなはずじゃなかった…」という事態になりかねない。特に、かつて高給取りとして名を馳せた弁護士と歯科医師はその傾向が顕著だ。
その最たる理由として、どちらも数が増えすぎてしまったことにある。弁護士試験の制度が変わったことで、有資格者の数が増加。難関の司法試験を突破したにもかかわらず就職先が見つからない。独立開業しても年収100万円を切ってしまうこともザラにあるようだ。
歯科医師も人数が年々増加。なんと、現在はコンビニよりも歯科診療所の数が多いという。確かに私が住んでいる地域では半径1キロ以内に歯科医院が2軒。コンビニは0軒と明らかに供給過多だ。そのため、歯科医師は年間1600件が廃業に追い込まれ、そのうち2割ほどが「夜逃げ」「自己破産」を余儀なくされているという。
また資金繰りに窮した弁護士は遺産相続でお金を稼ぐ。巨額の遺産を持つ親がいる子どもは、兄弟が多ければ多いほど取り分が少なくなってしまう。そこで親を囲っている子どもが、認知症を患った親にウソの遺言を作らせ、自分に配分される遺産額を自由に設定する。そのウソの遺言を弁護士が公証人と結託し、公正証書遺言にして、手数料を稼ぐというビジネスが横行しているのだとか。
そして、歯科医師は稼ぎを上げるため、1本につき40~50万儲けることができるインプラントを勧める、初めは安く、徐々に追加料金で利益を増やそうとする歯科医師もいるそうだ。
このような悲惨な現状を知らず「弁護士・歯科医だったら儲かるはず」と安易に考えてしまうと、痛い目を見ることに。自分が目指すべき職業については、しっかりとリサーチすることが欠かせない。特に学生のうちはこのような情報に触れる機会を多くしなければいけないだろう。
正しい情報を知っていることは大きなアドバンテージになる。弁護士・歯科医師の職業選択の判断にも影響を与えるだろう。また食品に対しても正しい知識を持ち、知ったうえで、選ばない、あるいは、あえて選ぶというのも賢い選択の一つだろう。
文=冴島友貴