とびきりキュートな童顔女医がキャラノベ界を席巻中!新感覚の医療ミステリーとは?

小説・エッセイ

更新日:2017/11/6

『天久鷹央の推理カルテ』(知念 実希人/新潮文庫)

「天才女医」というと、何故かアダルトな魅力あふれるクールビューティを想像しがちだが、今、キャラノベ界を席巻しているのは、女子高生にしか見えないとびきりキュートな童顔女医だ。頭脳明晰。好奇心旺盛。他の医師が気付けない疾患をも見抜くずば抜けた診断力。知念実希人氏著の「天久鷹央の推理カルテ」シリーズ(新潮文庫)はそんな天才女医とその部下の成長を描いた新感覚の医療ミステリーだ。

 主人公は、29歳の小鳥遊 優。天医会総合病院総括診断部で働くことになった小鳥遊の上司は、未成年にしかみえない27歳の童顔女医・天久鷹央だった。患者を「お前」呼ばわりするなど歯に衣着せぬ物言いの鷹央に振り回されることになる小鳥遊。しかし、次第に、彼女の人並外れた明晰な頭脳に小鳥遊は圧倒されることになる。

 そもそも病は診断されなければ、治療されることもない。診断は医師にとって全ての肝となる。しかし、今まで「病の診断」を描いた作品がどれほど存在しただろうか。「病を取り除く」外科医の活躍ばかりが描かれる医療ミステリーの中で「病を診断する」天久鷹央の存在は異例といえるかもしれない。

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「小難しいはずのメディカル・ミステリーなのにすっきり理解できる。このシリーズにはまりそうな予感」(moemo)

「症状から病名を当てる、医療ミステリー。かなり面白い!」(楽駿)

 多くの読者がこのシリーズに魅了されるのは、このシリーズが本格的な医学知識を扱いながらも、誰でもすんなり理解できるストーリー展開を実現しているからだろう。本書の作者・知念実希人氏は現役の医師。だからこそ、この物語は専門的な医学知識をもととしているのだが、「医療ミステリー」だと構えなくても、そのエンターテインメント性に圧倒されてしまう。

 日本最高峰の頭脳を持つ天才女医の前に集まるのは「診断困難」とは名ばかりの、おかしな患者ばかり。シリーズ第1巻『天久鷹央の推理カルテ』(知念 実希人/新潮文庫)では、「河童に会った」と語る少年や「人魂を見た」と怯える看護師、「突然赤ちゃんを身籠った」と言い張る女子高生など、不可解な患者ばかりが現れる。医学とはまったく無関係のただの面倒な患者たちかと思いきや、摩訶不思議な”事件”には思いもよらぬ”病”が隠されていた……?シリーズ第1弾だというのに、総合病院総括診断部はいきなり危機に瀕する。鷹央が診療過誤で訴えられるなどのトラブルに見舞われるのだが、そんな状況下でも、鷹央はめげることはない。ひたすら真実を追い求め、事件の背景に隠された「病」をもまっすぐと見抜いてしまう。そんな彼女の診断力に、小鳥遊とともに読者たちは、思わずあっと驚かされてしまうのだ。

「登場人物のキャラクターがいい! このシリーズ、もっと早くから読んでおきたかった」(あむぴの)

『涼宮ハルヒの憂鬱』(角川書店)のいとうのいぢ氏が描いたイラストがとにかく可愛い。主人公の天才女医 鷹央と、彼女に振り回され続ける部下 小鳥遊のコンビも見もの。どう考えても怪奇現象にしか思えない患者の話に興味を示す鷹央と、毎度毎度そんな鷹央に付き合わされてゲンナリとする小鳥遊。2人のやりとりはなんと微笑ましいことだろう。愛らしい女医の鋭い視線に、あなたも射止められてしまうに違いない。

※読者コメントはドワンゴが運営する「読者メーター」より引用

文=アサトーミナミ