金メダリスト・内村航平選手の母と東大理IIIに4人の子どもを合格させた母の驚きの子育てとは?

出産・子育て

更新日:2017/10/30

『子どもの才能を最大限伸ばす子育て』(内村周子、佐藤亮子/ポプラ社)

 世の中に先輩ママからの子育て指南本は数あれど、ここまで強烈な組み合わせもなかなかないだろう。『子どもの才能を最大限伸ばす子育て』(内村周子、佐藤亮子/ポプラ社)は、体操の金メダリスト・内村航平さんの母、内村周子さんと、超難関の東大理IIIに4兄妹を合格させた佐藤亮子さんによる新刊。「スポーツエリート」と「トップクラスの秀才」を育てた両極端なスーパー母がタッグを組んだ育児指南本なのだ。

 どうしたらお宅のようなお子さんが育つのですか?――そんな質問をお互い何度も投げかけられてきた2人は、とあるTV番組の楽屋でばったり出会い、子育ての共通点の多さにすっかり意気投合したという。この本は、そんな2人の子育てへの共通した考え方&実践を並べてみせてくれるという興味深いもの。

「過保護」と「保護」は何が違う?

 たとえば「第1章“伸びる子”のお母さんの心構え、考え方」は、親の心構えや育児情報、ママ友&PTAとのつきあい方に関して。「過保護と放任」の項では、「子どもが一人前になるまでサポートしたり、親がていねいに教え導いたりすることは“過保護”ではなく“保護”」という佐藤ママは、子どもがなかなか名前がいえないときは率先して親が答えて「見本」になればいいと、積極的に子どもを手助けしてきたという。たとえば、話題になった「受験生に恋愛はいらない」発言にしても、大切な受験期に1分1秒の大切さを説き、何を優先するべきか伝えるのはあくまで「保護」の一環という認識だ。

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 一方の内村ママも、内向的でモジモジしてしまう幼い息子に代わって「航平です」と答えてきたといい、「過保護かもしれないけど、いま助けを求めている子どもがいるなら助けてあげよう」が基本姿勢。娘の春日さんに包丁を持たせないなど過保護である自覚もしっかりあり、むしろ「それが周子流子育て。外野の声は気にならないし、我が道を切り拓くのも育児の醍醐味」ときっぱり。過保護に対する感覚は微妙に違うが、実際の育て方は似ている2人だ。

「あなたは◯◯が苦手ね」は絶対に言わない

 また、声かけや子どもの話の聞き方、子どもの夢とのつきあい方など「子どもとの関わり」について書かれた2章では、たとえば「親の口ぐせ」として「“あなたがは◯◯が苦手ね”とは絶対に言わない」(佐藤ママ)、「 “ママの子だから大丈夫”で安心感を持ってもらう」(内村ママ)と、アプローチは微妙に違うものの「“大丈夫”で背中を押す」という点ではやはり同じだ。

何事も子ども中心に考える

 以下、「第3章 結果に結びつく早期~幼児教育」「第4章 子どもが育つ生活のルール、家族のルール」「第5章 勉強・スポーツの能力はこうして伸ばす」「第6章 試験・試合。“本番に強い子”の育て方」と、この2人だからこそ聞いてみたいポイントが続く。総じて勉強と運動の違いこそあれ、見えてくるのはどちらも「何事も子ども中心に考え、夢を実現させるための手助けは“積極的”に、上手に導く」という基本姿勢。その“積極的”の中身にこそ、この2人の母たちのスゴさも隠れている。

 ちなみに、こうしたスーパー母の指南書には、自分が至らない点を発見しては落ち込んでしまう読者がいるもの……そんなママには「子育てに正解はない。私たちの経験談を自分の子育てを発明する一助にして」と佐藤ママ。たしかに「これもひとつのやり方」と割り切れば、育児の参考になるし視野も広がる。とにかく「母が全力で子に関わるのは悪いことじゃない。結果も出す」という盛大な肯定感は、背中を押してくれる面もある。「肩の力を抜いて自分流を手作りして。“自分は自分!”と自信を持てば子育てはとっても楽しい」(内村ママ)の言葉の通り、育児がさらに楽しくなるヒントが本書にはつまっている。

文=荒井理恵