「もらい忘れ年金」、約10万円UPする「お宝年金」って? 年金受給額が増える裏技テクニック

暮らし

公開日:2017/11/6

『年金が増やせる7つの裏技』(わかさ出版)

 年々減り続ける年金。筆者のような20代は今や払い損と言われており、もはや年金は老後の蓄えではなく、破たんしそうな国への募金のように感じてしまう。しかし『年金が増やせる7つの裏技』(わかさ出版)によると、筆者のような20代でも、年金間近の50代60代でも、受給額をUPさせる方法があるらしい。今回は本書に載せられている7つの方法のうち、2つをご紹介したい。

■お宝年金に加入すれば年金が最高年9万6000円増える

 自営業者や農家などの国民年金の第1号被保険者は、保険料を40年満額納めた場合でも、1ヶ月あたりの受給額は約6万5000円。40年納めてこれでは心もとない。ところが、このような人々が手軽にできるとっておきの年金増額方法がある。それが「付加年金」、通称「お宝年金」だ。

 これは、毎月支払う老齢基礎年金に、プラス400円追加で保険料を支払う「付加年金」に加入する方法。この付加年金に加入すると、将来年金を受け取る際、付加保険料を納めた月数に200円をかけた金額が、老齢基礎年金に加算されて支給されるようになる。

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 例 付加年金を480ヶ月(12ヶ月×40年)納めた場合、
   200円×480=9万6000円が年間に追加で支給される

 付加年金を満額の19万2000円(400円×480ヶ月)納めたとしても、9万6000円×2=19万2000円、つまりたった2年で元が取れる計算だ。何歳から納めても2年で元が取れるようになっており、まさに「お宝年金」というわけだ。さらにこの付加年金は60歳以上でも加入が可能。その対象となるのは、60歳になった時点で老齢基礎年金の納付数が480ヶ月(40年)に満たない場合に限り、この不足した期間分だけ、60歳から64歳の間に納めることができる。また、サラリーマンの妻も加入のチャンスがある。たとえば、会社員の主60歳で定年退職をしたとき、奥さんが56歳だった場合。奥さんは60歳になるまでの4年間、第1号被保険者として国民年金を納める必要がある。このとき付加年金を納めるチャンスが生まれるのだ。詳しく知りたい方は本書を読むか年金事務所に問い合わせてみるといいだろう。

■「もらい忘れ年金」の有無を確かめる

 平成19年にテレビや新聞で取り上げられた「消えた年金」騒動。国が調査に乗り出したものの、今でも2000万件以上の年金記録が不明のままだ。この「消えた年金」については、特例で時効が撤廃され、もらい忘れていても受給が可能になった。さらに重要なのは時効の撤廃によって、妻や子供などの遺族が「もらい忘れ年金」を見つければ、本人の代わりに受け取れるようになったのだ。

 では、どのような人々が該当するのだろうか。まずは80歳以上の人々。厚生年金制度が始まったのは太平洋戦争の真っただ中のときで、当時は厚生年金を税金と同様に見なしていた。そのためほとんどの会社では社員に保険料を納めていることを知らせず、社員は将来、年金がもらえることすら知らなかったそうだ。太平洋戦争の戦前・戦後のときに何かしらの職に就いていた方がご家族にいる場合、しっかりチェックすべきだろう。

 次に、戦後の混乱期や高度経済成長期の初期を過ごした70代80代の人々。当時はまだ終身雇用が定着しておらず、多くの人々が転職を繰り返していた。誰もが生活を豊かにすることに夢中で、年金のことなど頭になく、給料から厚生年金の保険料が支払われていることすら知らない人もいた。そのため転職の度に年金手帳を紛失したり、数ヶ月しか勤務しなかった会社のもとで支払った厚生年金の加入期間の確認請求を忘れたりすることで、もらい忘れが数多く発生した。70代以上のご家族がいる場合は、絶対にもう一度確認してみるべきだ。

 年金は今や死にそうな制度の1つで、なかには年金に期待せず生き抜く方法を模索している人々もいるだろう。しかし年金を納めなければ、万が一のときに受けられる社会保障の資格を失う。よほどの事情がない限りは、今のところ、年金を納めておいた方が得策だ。そしてせっかく納めるならば、なるべくたくさんお金を頂きたいところ。賢い年金受給が老後の安心を引き寄せるのだ。

文=いのうえゆきひろ