人生というのは、小さな習慣の積み重ねでできている。大きなきっかけで劇的な変化がもたらされることはそうそうなく、今よりもさらに充実させたいのであれば、何かしらの「ライフハック」が必要になってくる。

　近年、ネット界隈でよく目にするライフハックとは「毎日の行動を、毎日数分で実践できるような小さな近道で入れ替えてゆくだけで、やがて大きな変化を生み出せること」だという。

　その範囲はビジネス上のタスク管理や日頃からのストレス対策、さらに、日常のちょっとした所作一つに至るまで多岐にわたるが、11月16日に電子書籍が配信された、あらゆるジャンルを網羅した書籍『ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250』（堀正岳/KADOKAWA）には今すぐにでも試せるような“ライフハック”が凝縮されている。

◎やらないことも“やるべきこと”と同じくらい重要

　近頃、ビジネスの現場では“時短”というキーワードがよく聞かれるようになった。残業ゼロを目指そうとする企業が目立ちはじめる中で、日々の業務における「タスク管理」の重要性も叫ばれている。

　タスク管理といえば、何をどうやるべきか整理する「ToDoリスト」を使う方法が真っ先に思い浮かぶ。一見、自分が担当する仕事の中から「やるべきこと」を見きわめるためのライフハックの定番のようにも思えるが、本書では「やらないことリスト」を作る必要性も強調されている。

　やらないことを決めるべき理由は、誰しも「時間」と「集中力」が有限であるからだ、1日が24時間というのは、避けようもない事実。どれほど「歯を食いしばって努力しても達成できることには限界」があると本書は主張する。例えば、以下のような項目を決めておくのがよいとされる。

　ポイントになるのは曖昧なものではなく、できる限り具体的なシチュエーションを思い浮かべること。「やらないこと」を決めるというのも、物事の優先順位を整理するためには大切となる。

◎Googleで使いたい、ちょっとした“検索”のコツ

　仕事にしろプライベートにしろ、おそらくもうほとんどの人がネットの検索を活用していることだろう。あらゆる情報が網羅されているため重宝される一方では、情報があまりに溢れ過ぎていて、自分が求める情報にすぐさまたどり着かないと思う瞬間も多々ある。

　そんなときに使ってみたいのが、検索にまつわるライフハックだ。検索といえばやはり“ググる”の代名詞でも知られる「Google」が定番であるが、ちょっとした工夫で「最初から特定の情報を除外する」「あるキーワードとあるキーワードの交点を調べる」といったように、より便利に使う方法がある。

　例えば、検索のときに「Google検索オプション」を使ったり、以下のようなコマンドを取り入れたりすればさらなる活用も可能だ。

　この他、Googleの検索は便利な機能も豊富。例えば、ブラウザ上の検索窓で「電卓」と入力すれば計算ができたり、「◯円 ドル」と入れればレートが換算できたりと、覚えておけばとっさのときにきっと役立つはずだ。

◎イヤホンの“イライラ”を解消するライフハック

　人生を変えたいと思うならば「時間の使い方を変える」ことが、もっとも近道であると本書は主張する。仕事で役立つものばかりに目を向けがちなライフハックであるが、日常のちょっとした困りごとを解決する手段を覚えておくというのも、毎日の生活を充実させるためには大切なことである。

　本書で紹介される事例の中で、今日すぐにでも使ってみたいと思う一つがイヤホンの絡まりを防止するための方法だ。移動中に音楽を聴いていて、出かけた先でカバンへ投げ込むようにしまってしまい、帰りぎわに絡まっていてイラッとするのはわりとあるあるではないだろうか。

　これを解決するために役立つのが「8の字で巻いて絡まりを防ぐ」というやり方。以下のように、ちょっとした手間をかけるだけでささいなイライラも解消できる。

　手順は、耳に付けるイヤホンの本体側をつまんで2本の指の間を8の字で巻き取り、残り15センチ程になったらケーブルの周囲に巻き付けるだけ。ちょっとした不満であっても、すぐに解決しようと「調べてみる」のもライフハック的な思考には必須だという。

　巷でいわれるライフハックの多くは、仕事に特化したものが目立つような印象もある。しかし、本書を読むとライフハックのいちばんのゴールは“人生や生活をいかにして充実させられるか”に集約されるようにも感じられる。ほんのわずかな工夫がたくさん紹介されている本書を手に取れば、毎日をきっと快適に過ごせるはずだ。

文＝カネコシュウヘイ