「排卵日にはイケメンに一目惚れしやすい」「卵子は生まれる前から減り始めている」……意外と知らない“女のカラダ”
更新日:2017/12/18
男性にとって、女性の体は謎だらけだろう。しかし、女性自身は、はたしてどのくらい、自分の体を知っているのだろうか? 学校で性教育は受けたし、その後も必要に応じて情報を得てきたかもしれないが、本当に正しく理解していると言えるだろうか? 生理はなぜ起こるのか、基礎体温の読み方、排卵の仕組みなど、改めて聞かれると大雑把にしか説明できない。自分の体のことは分かっていたつもりなのに、意外と知らないことに気づき、不安を覚える。
そこで、オススメしたいのが『あなたも知らない女のカラダ 希望を叶える性の話』(船曳美也子/講談社)だ。著者の船曳美也子氏は、産婦人科専門医、生殖医療専門医として不妊治療を専門に診療を行い、自身も体外受精によって44歳で初めての出産を経験。 本書では、女性の体について、性器の説明から不妊治療、閉経後に至るまで、丁寧に分かりやすく説明してくれる。
■卵子は生まれる前から減り続ける
女性は胎児のうちから体内で「卵子の素」を作っており、妊娠20週目くらいの胎児は約700万個持っているそう。これがピークで、生まれる時点では200万個くらいになる。さらに、思春期に生理が始まる頃には、20~30万個まで減ってしまうそうだ。37歳では2~3万個になり、37歳以降は減少のスピードが倍に。卵子は新たに作られることがないので、生まれる前から減り続けていることになる。
■排卵日の一目惚れには要注意
排卵が起こると、卵子が腹腔内に飛び出し、精子と出会える状態となる。排卵が起こる数日前から女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が増えるのだが、これが女性をさらに魅力的に見せ、男性を引き寄せる作用があるそうだ。さらに、エストロゲンで肌はつやつやになり、瞳孔も少し大きくなる。つまり、女性にとって排卵期=モテ期。そして、エストロゲンの分泌が多い排卵期には、好みの男性のタイプが変わるらしい。この時期はイケメンに惹かれてしまう傾向にあるようなので、浮気性なイケメンに引っかからないようにご注意を。
■新生児の19人に1人が体外受精
本書によれば、2015年に体外受精で誕生した新生児は年間5万1001人で、19人に1人が体外受精で生まれていることになる。 全体の新生児の約5パーセントだ。ひと昔前に「試験管ベビー」と大々的に報道され、日本では1983年 に初めて体外受精児が誕生したことを考えると、短期間で数字が伸びていることが分かる。以前だったら子どもを持てなかった人でも、体外受精によって子どもを持てる確率が着実に上がっているということだろう。
■閉経しても女は終わらない
閉経したらどうなるのか、不安を抱いている女性も多いのでは? 閉経したら女性ホルモンが分泌されなくなって、女として終わるのでは…なんて思うこともあるかもしれない。しかし、どうやらその心配は必要なさそうだ。著者によれば、女性ホルモンは皮下脂肪の細胞からも分泌されるとのこと。閉経前に卵巣から分泌されていたものより血管や骨、脳への作用は低下するが、通常は脂肪細胞から出る女性ホルモンで十分だそうだ。
分かっているようで、意外と知らないことが多い女のカラダ。著者自身が不妊治療を経験しているということもあり、本書で不妊治療について語る内容には実感がこもっている。科学的なデータを示し分析を行っているので、納得の内容。体外受精はもちろん、賛否両論ある卵子凍結についても詳しく解説されているので、不妊に悩む方には大いに参考になるだろう。もちろん、不妊治療とは無縁の方や、子どもを持つ予定がない方にとっても、自分の体を正しく理解するための情報が存分に盛り込まれており、新たな発見がありそうだ。
子どもを持つ、持たない、の決断も含め、いかなる状況でも希望を叶えるために決断するのは、あなた自身。本書は、その手助けとなるだろう。男性陣も、自分には関係ないとは思わず、これを機に女性の体について勉強してみてはいかがだろうか? パートナーや周囲の女性の体に何が起こっているのかが分かれば、さらに良好な関係が築けるかもしれない。
文=松澤友子