『ふたりエッチ』の克・亜樹も推薦!? 様々なカップルのセックスにいたるまでの1時間を描く恋愛オムニバスコミックス『初情事まであと1時間』2巻発売
更新日:2017/12/25
どんな恋愛作品でもそうだが、付き合っているふたりの甘い恋愛事情が描かれるよりも、付き合うに至るまでの経緯の方が割と面白かったりするものだ。
うまくいきそうでいかない、なんだか歯がゆくてもどかしい! でもそこに至るまでのもだもだとした経緯には、ついニヤニヤとしてしまう……。恋愛作品にはそんな楽しみ方もあるだろう。
セックスの描写にしたって、そうではないだろうか。
それぞれの情交は確かに気になるが、その瞬間よりもそこに至るまでの過程の方がドラマチックだったりする。
というよりも、純粋に気になりはしないだろうか。で、このふたりどんな経緯でセックスしたの、と――。
この『初情事まであと1時間』(著:ノッツ)は、そんな気になる過程と経緯にスポットを当てた異色の作品となっている。
しかもただの過程ではない。タイトルから察しがつくように、初めてのセックスに至るまでのその1時間を描いた作品なのだ。先日11月22日に第2巻が発売されたばかりである。内容はすべて1話完結のオムニバス形式で描かれており、毎回違うふたりが登場するため、どこからでも楽しめる。
その組み合わせは実に多彩で、高校生のカップルが描かれたと思えば、いとこ同士、はたまた勇者と魔法使いのふたりまで。現実的なものからファンタジーな世界観のものまで、より取り見取りだ。
第2巻では原始人同士の初情事までもが描かれている。「ガウガウ」と「ウガウガ」というふたりの応酬の裏側をイラストからなんとなく想像するのもなかなか面白い。
このインパクトのあるタイトルを聞くと「どんなエッチなことが描かれているのだろう……?」とついつい想像と期待を膨らませてしまうが、どの話もいい意味で全くそんなことは感じさせない。
ノッツによって描かれたキャラクターはどれもかわいらしく、たとえ全裸が描かれてもエッチだと目をそらしてしまいたくなる気持ちは起こらない。
だからこそ、それぞれのカップルのもどかしい攻防に集中でき、人様の恋愛模様を純粋かつ若干の不純さで見つめることができる。
真剣なふたりのやりとりを、一人の傍観者としてただニヤニヤと見つめられるのだ。
今回、帯には『ふたりエッチ』の克・亜樹がコメント寄せている。
「これを読めばあなたにピッタリ合う初エッチの迎え方がわかるぞ!!」
なるほど、指南書としてももってこいということだろうか。確かにこれだけのカップルがいれば、1つくらいは参考にできそうな気もする。もちろん、宇宙人にさらわれた場合などはまず役にたたなそうではあるが、万が一のシミュレーションのうちの1つとしてはならば十分に考えられそうだ。
なお、第2巻には初回配本分限定で、第1巻に登場したカップルのその後が読める描き下ろしマンガリーフレットも封入されているそうだ。
書店では実に手に取りにくいタイトルだが、1巻に掲載されていたカップルの行く末が気になる人は、ぜひ店頭で勇気を出してレジまで持って行ってほしい。
このタイトルが少しでも気になったら、まずは手にとってほしい。
昔こう言うことがあったなあなんて感傷的に、あるいはそれぞれのシチュエーションに嫉妬さえしてみせて。
どこかの誰かが迎えている初情事のその瞬間をこっそり覗き見るような感覚でページをめくり、それぞれの初情事に至るまでの濃密な1時間を楽しんでほしい。