自己評価は36.2点? 福士蒼汰を360度体験できる新鮮なフォトブック『福士蒼汰の「初めての〇〇」』
公開日:2017/11/25
興奮のるつぼ。9月の終わり、ライブハウス「チームスマイル/豊洲PIT(ピット)」。この日は、劇団☆新感線の新作〈髑髏城の七人〉シリーズ、“Season月”の製作発表が催され、多くの観客を前に主要キャストが初めてお披露目されたからだ。
お目当ては、このWキャストシリーズの“上弦の月”で主人公[捨之介]を史上最年少の24歳6ヶ月で演じ、初舞台となる福士蒼汰だろう。
日本初の360度回転式の劇場IHIステージアラウンド東京のこけら落とし公演でもある本作シリーズ。早乙女太一、三浦翔平、須賀健太、平間壮一ら錚々たるメンバーに見劣りしない顔つきで堂々とファンに挨拶をした彼のオーラに圧倒された(公演は、11月23日~2018年2月21日)。
本書『福士蒼汰の「初めての〇〇」』(主婦の友社)は、その2年前に発売された、アメリカのロサンゼルスを東西南北と横断、初めてのことの挑む彼の初々しい姿をスナップで切り取った青春を感じさせるフォトブックだ。
この段階では、まさに、福士蒼汰の、福士蒼汰による、福士蒼汰のための、ならびにそのファンのための趣があるけれど、その新鮮なショットに潜む真剣な眼差しに、ファンのみならず、その後の活動に目を奪われたファンも固唾を飲むことだろう。もともと『S Cawaii!』の連載「初めての〇〇」の延長線上にある企画なのだが、企画ものだとは感じさえない作り手と福士蒼汰の矜持を感じる。
初めてのサンドバギー、初めてのセグウェイ、初めてのハット工房では、すっかり人気ブランドとなった「Nick Fouquet」の帽子をハンフリー・ボガートのように被りポーズを決める。初めてづくしの体験に好奇心旺盛に挑む。
写真は様々で、カリフォルニアでハンバーガーを頬張る笑顔の彼。地図片手にハイウェイを歩く後ろ姿の彼。ゴツゴツした岩場でギターを爪弾き、クールに「カントリー・ロード」を演奏する姿など、VR福士蒼汰ならぬ、360度どの角度からでも生き生きした“福士蒼汰”が堪能できる。オール・オブ・福士蒼汰だ。
見所は、少しハスに構えた横顔だ。彼のほっそりした頬になめらかな顎の曲線を描く顔。カメラマンもそれをわかっているのか、そんな写真が多く続き、時にはあどけない笑顔を、時には夕日をバックに美しい顔を覗かせる。
「肉食系。好きなものに対しては、どんどん突き進んで行くタイプ」
「理系ボジティブやんちゃ野郎」
「(自分に点数をつけるとしたら)36.2点。自分の伸びしろを考えたときに、あと倍以上は成長したいと感じるから」
「(将来は)やりたいことを楽しんでやっている俳優」
自己分析そのまま、彼にとってのキーワードは“自由”と“挑戦”だ。〈髑髏城の七人〉で、やんちゃで肉食系の彼がグイグイ演じる姿が目に浮かぶ。1993年生まれの彼がどんなゴールにたどり着くのか。これからの彼がますます楽しみでならない。
文=竹下力