かわいい、切ない、うつくしい。女の子同士の恋! ときめき百合入門
更新日:2017/12/8
女の子同士の恋を描く、百合ジャンルがいま、注目を集めている。作品が続々とアニメ化され、一般誌でもストーリーのメインテーマに「百合」を据えた作品が増えている。いまなぜ、百合なのか? そして、その魅力とは? ジャンルの先駆者であり、唯一の月刊専門誌である『コミック百合姫』編集部にご協力いただき、その魅力をひもとき、百合の世界をのぞいてみた。
■きれいで繊細。まるで女の子そのもの? 男性にも女性にも愛される百合の世界
「女の子同士」「女性同士」の恋を描く百合の世界。もともとは、少女マンガや文学からスタートしているジャンルである。印象的なのは、どの作品も絵がきれいなこと。内容を問わず、描かれる女の子たちはみな、うつくしかったり、かわいかったり、チャーミングだったりして魅力的だ。女の子の繊細な心理を、他ジャンルの追随を許さない丁寧さで描くところも大きな特徴である。男女には性差があり、ボーイズラブには受け攻めの役割があるが、百合は相手と対等というのも、ほかにない関係性で、世界を独自のものにしている。
内容は、ライトなものから、ディープなものまで、さまざまな作品が存在している。成り立ちが近いボーイズラブは、読者も作家もほぼ女性だが、百合は男性読者にも女性読者にも読まれている。描き手も、男性作家も女性作家もいる。
『コミック百合姫』の梅澤佳奈子編集長は「男性読者は箱庭的な世界を外側から覗き込むような視点で楽しんでいらっしゃる方が多いのかなと感じます。女性読者は同じ女性の物語なので、もうちょっとリアルなものとして読まれているようです」とインタビューで語っている。楽しみ方は、男女で違いがあるようだ。
なにが百合なのか、という定義は曖昧で、感情のゆらぎだけを描いてキスすらしない作品もあれば、キス以上を描く作品もある。女の子たちがキュートにたわむれるライトな作品もあれば、切なすぎる恋の痛みを描くシリアスな作品もある。制服をまとう少女たちの恋が王道だが、社会人同士の百合も最近は人気だ。
名作と言われる一般のマンガにも、百合が登場している作品は多い。昔から、メインにはならずとも、描かれ続けている普遍的なテーマでもあるのだ。アニメ化が相次ぎ、一般誌でメインテーマとなり、いまや百合は、数ある愛の形のひとつとして、ついに自由に描かれ、読まれる時代になったのである。
そこで、これから百合作品を読んでみたい人のために、今回の百合特集で登場する作品を中心に、一般作を含めた数多くの作品から、幅広く入門として読むのにおすすめのマンガ・小説をマッピングした。ぜひ、気になる作品を、まずは何冊か読んでみてほしい。女の子同士の、かわいくて、切なくて、うつくしい恋の世界。そこにはきっと、あなたの知らなかった新しいときめきが待っているだろう。
文=波多野公美