「悩んでいる間は無理しなくてもいい」会社を辞めて好きなことを仕事にしたヨッピー×夏生さえりが今だから言えること【後編】
公開日:2017/12/8
『明日クビになっても大丈夫!』(幻冬舎)を9月に上梓した人気WEBライターのヨッピーさん。『今日は、自分を甘やかす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)や『口説き文句は決めている』(クラーケン)の著者で同じく人気WEBライターの夏生さえりさん。今日の活躍の前に苦悩のサラリーマン時代を経験されたお2人に、後編では、幸せになる方法について聞いてみました。
■好きなことを仕事にするには「発信」
――前編で、仕事をインターネットでもらえるという話が出ましたが、好きなことを仕事にする上で、インターネットは重要ですか?
夏生さえりさん(以下、夏生):ヨッピーさんも本の中で「情報は発信する場所に集まる」と書かれていましたが、インターネットというよりは「発信」という方がいいかもしれないですね。
ヨッピーさん(以下、ヨッピー):発信ってプロモーションだし、紙の本と違ってネットだともはや流通の機能も果たしているじゃないですか。「ライター」って一般的には文章書く仕事だと思われてると思うのですが、実際の所は営業みたいに打ち合わせにも行くし、企画も作るし、ディレクションもするし出演もするしカメラも撮るし宣伝もするし流通させるし、っていう。そんな風にインターネットの出現によってライターが文章を書くこと以外の役割も担うようになってきたので予算の内のライターの取り分が増えたというのはあると思います。元々は紙に比べてWEBは予算が少なかったから全部自分でやらざるを得なく、分業できなかった、っていう背景はあるんですけど。
――まさに好循環ですね。フォロワーを獲得する工夫などはされていますか?
ヨッピー:読者を大事にするというのに繋がるんですが、言ったことは有言実行して、リクエストにひたすら応え続けるのが大事というのはあります。もちろん、仕事をくださる企業からの依頼にも応えてきましたが、たまに企業の都合なんかを押し付けられたりしたとき、読者を騙すような事になるようなものは、断るようにしています。嘘に読者は敏感ですからね。
夏生:私の場合は、妄想ツイートでしょうか。記事以外でも面白いと思ってもらえる機会を作っておく事は、ひいては記事の読者を増やすことにつながるんじゃないかと思っています。妄想ツイートは、想像力と文章力を鍛えようと思って始めたんですが、今では妄想を書くお仕事も増えていますし…。そう考えるとネットの時代っていろいろなことが仕事になりますし、まだまだ知らない仕事はたくさんあるのかなと思います。
■好奇心に従えば好きなことは見つかる
――お2人はネットを使って好きなことを仕事に変えられたんですね。でも、世の中には好きなことが分からないという人もいるかと思います。どうすれば好きなことを見つけられるでしょう?
ヨッピー:好奇心や欲望に忠実に従っていくしかないですね。会いたい・行きたい・やりたいの3つを本でも紹介していたりしますが、行動しなければ何も始まりません。あとは、何かを見つけようする姿勢を作っていることも大事じゃないかなー。どうやったらおもしろい企画ができるか、なんてよくされる質問なんですが、普段から意識して行動するしかないです。道端に落ちている1万円に気づくのは、あるんじゃないかと意識して探している人だけですから。
夏生:そうやっておもしろいものを見つけようと見方を変えるのは私も大事だと思います。同じ風景を見ていても、面白さを見つけられる人と見つけられない人がいますからね。私はよくカフェで人の話を盗み聞きしたりするんですが、続きが気になって追いかけちゃったりするぐらいです。「ここは、コンクリートジャングルだぜ?」って言ってる人が前にいて未だに気になってたりします(笑)。
ヨッピー:それ、めっちゃ気になる(笑)。
夏生:ですよね。新宿や渋谷などの繁華街が私は好きで、ネタ探しにフラフラしに行ってます。逆に地元とかに帰ると人が少ないので全然アイデアが出なかったりするぐらいです。あと好きなことを見つけられないなら、人に褒められたことを頑張るというのは手だと思います。人が喜んでくれることっていうのはその人が持っている才能だと思うので。
――アイディアの出る場所の話になると、本の中でも熱く書かれていましたが、ヨッピーさんはやっぱり銭湯ですか?
ヨッピー:銭湯は好きですね(笑)。実は今日も銭湯帰りだし。もう週5~6日は普通に銭湯にいます。
夏生:ヨッピーさんに勧めていただいたので、私もこの前サウナで交互浴デビューしましたよ(笑)。「とりあえず水風呂に入ろう」ってヨッピーさんが書かれてたのを見て、水風呂にも入るようになりました。
ヨッピー:いいですね! もう少しレベルが上がってくると、水風呂に入らないと気持ち悪くなってきて、そのあとは中毒になってきますよ。サウナに入ってると“母親の胎内にいるみたい”とか“宇宙と交信できる”って言ってる知り合いもいるし(笑)。
――さすが銭湯好きのヨッピーさん。ご友人もすごい域まで達していらっしゃるんですね。他におすすめのスポットってありますか?
ヨッピー:あぁ~…ゴールデン街とかかな。本でバッシングしてる六本木の会員制バーなんかとは違って、みんな気取ってない。人間って美しいなって素直に感じるんですよ。変な人が集まるところがいいです。
■行動するのも、ちょっとずつからやればいい。
――人の集まるところに行くというのは、コミュニケーションという面でもいいのでしょうか?
ヨッピー:そうですね。ネットの恩恵を受けている僕ではありますが、直接会うのももちろんいいと思います。お酒を飲みに行くというのもひとつの手ですが、いろんな人を巻き込んでゲームの大会を企画するとかやり方はたくさんあるんじゃないでしょうか。
夏生:もし、いきなり知らない人を巻き込むのは恥ずかしいと思うようならネットで些細なことでも発信してみることから始めてみてほしいです。初めから夢を大きく叶えようとすると時間もかかってしまいますが、ネットで小さく始めることなら今日からだってできますから。
ヨッピー:何かしらのアウトプットを世の中に対して続けるってことですね。そう考えると、フリーランスにも向き・不向きは絶対あるかな。自分のことなんて律せてない僕はフリーランス向きなのかも。こんな僕だからこそ、律しなくても何とかなるってのも言いたいですね(笑)。
夏生:そうですね、私もフリーランスになるまでは色々なことが不安でしたが、結局なんとかやっているので同感です(笑)。自分のことを律せない人でもフリーランスになれるよってのは言いたいですね。選択肢としてそんなに難しいものではないと、と思います。
ヨッピー:逆に言うと、会社員にも向き・不向きがあって一長一短。定時きっかりに上がるような人って会社員向きと言えると思います。むしろ、会社はそう簡単に社員のことを辞めさせたりできないので、全然律してなくても大丈夫な面もあるぐらい。遅刻したって怒られる程度で済んじゃうし。
夏生:会社員って「自由じゃない」みたいな風潮ありますけど、わたしはすごくいいと思いますよ。私はフリーで働いていますが会社に属したいなと思う日も多いですから。本当に向き・不向きだと思いますが…。ただ、もし今の働き方や会社に疑問を持っているなら、フリーになる選択肢もあって、それはそんなに難しいことではないというのは過去のわたしにも伝えたいですね。
ヨッピー:そうですね。無理に辞める必要はいし、悩んでいる間は無理しなくてもいいです。僕の本を読んでもらって、こっそりと副業を始めてみようかなって行動してもらって、うまく回るようになってから考えようぐらいの行き当たりばったりでいいと思います。
――なるほど。本日は、ありがとうございました。最後に、サラリーマンで苦労していた頃の自分に今だったらなんてアドバイスしますか?
夏生:そのままでいいよって言いたいですかね。辞めたくなったら辞めたらいいし、悩んででもそれはそれでいいんじゃないかなと思います。
――ヨッピーさんは?
ヨッピー:早く辞めて、Yahoo! に転職しろ!! …かな(笑)
取材・文=田中利知