2.5次元、ジャニーズ、韓流、BL、宝塚、そして“大泉洋”オタク女性が集結! 縦横無尽に語りまくった!『探偵はBARにいる3』×『浪費図鑑』コラボ座談会
更新日:2017/12/25
オタク女性の赤裸々な「浪費」生活を収録した『浪費図鑑-悪友たちのないしょ話-』(本誌「BOOK OF THE YEAR2017特集」でもエンタメ・実用書ランキング10位!)が大きな話題を呼んでいる、アラサー女性4人組サークル「劇団雌猫」(@aku__you)。そのメンバー3名に、『ダ・ヴィンチ』本誌の大泉洋さん担当編集M(@oizumiessey )も加わり、現在公開中の映画『探偵はBARにいる3』とコラボ座談会を開催!
■テニミュ上演芸と三島由紀夫無限回収
――では早速、自己紹介をお願いできますでしょうか?
ユッケ 現在は、2.5次元ミュージカルとジャニーズJr.にハマっています。
かん 今、一番ハマっているのはK-POPアイドルの「SEVENTEEN」。でも大学時代は演劇部だったので、TEAM NACSの公演のDVDもいっぱい部室で観てました。『COMPOSER ~響き続ける旋律の調べ』が好きです。
ひらりさ 私はずっとBLを愛しているんですが、最近はアラサーっぽく、占いやマッサージなんかをやってみています。
編集M『大泉エッセイ』や小説『騙し絵の牙』など、長年大泉洋さんの本の編集担当をさせていただいているのですが、同時にファンでもあるので(笑)、NACSや『水曜どうでしょう』など大泉さん関連には、仕事的にも私的にも費やしています。あと実は、もう一人の「劇団雌猫」のメンバー、もぐもぐさんと同様、宝塚歌劇団にどハマりしていた時期がありまして。
かん えっ! ちなみにご贔屓は?
編集M 添い遂げ退団をされた“ちぎみゆ”(前雪組トップスター・早霧せいなと咲妃みゆ)が大好きでした。あと「ブリドリ」(宝塚スカイステージの番組)で一気に心掴まされたのが、七海ひろきさん。あの方は罪です(笑)。からの、89期と95期の同期萌えでした。というわけで、ヅカファンで有名な北川景子さんが『探偵はBARにいる3』のヒロイン役で私的に超うれしかったという……!
ユッケ 綺麗でしたよね! 美が際立ってた。
編集M そうなんです、本当にお美しい。ですので、宝塚ファンの皆さま、北川景子さんの尊さを観に映画館へ行ってください、びっくりする北川景子さんが観られますよ~、とこっそり思っています。それにしても、「浪費」ってすごいインパクトのテーマですね。
ユッケ『浪費図鑑』は、私たちが昨年末に出した同人誌『悪友 Vol.1 浪費』が元になっているのですが、同人誌も書籍も一貫して「浪費」と謳ってはいるものの、推しにかけた額が大事なのではなくて、「愛」をお金に変える行為がいいという考え方で作っています。
かん 多分オタクって、推してるアイドルをスクワットで支えられるなら、スクワットすると思うんですよ。今は、偶然お金しか手立てがないみたいな(笑)。
編集M みなさんの浪費エピソードは?
かん 実は浪費エピソードでいうと、私、ずっと三島由紀夫さんが好きで、大学時代はとある本のあらゆる版を集めたくなって、古本屋で見つけたら全部買ってました。グッズ界隈でいうところの推しキャラ無限回収みたいな。バイト代全部つぎ込んでました。
ユッケ 推し俳優の『テニスの王子様』卒業公演です。1公演4時間の演目だったので、マチネ、ソワレ両方観劇すると8時間なんですよ。もう勤労かと(笑)。それを全国駆け巡り、66公演中20公演観て。6公演目くらいから自分でも演じられるようになりました。上演芸です。
編集M ちなみに舞台だと「何で同じ公演を何度も観るの?」って、周囲によく聞かれませんか?
ユッケ 舞台って生きた人間が作っているナマモノだから、初日と千秋楽では完成度がまるで違う。成長していくんです。それを見届けたいという。ジャニーズJr.もちょっと似てるところがあって、CDデビューに向けて毎日成長していってる。そういうところが好きなんですよね。
■大泉さんファンは欧州にまで聖地巡礼
編集M この座談会にあたって、大泉洋さんのファンのみなさんに、ツイッターで投稿をお願いしたんです(#探偵はBAR3ダヴィンチ座談会)。
ひらりさ すごい熱量のファンの方ばかり。アジュさん、13歳。「写真立てには大泉さんのブロマイド、映画パンフレットの切り抜き、教科書に並んでNACS表紙の『ダ・ヴィンチ』、ファンクラブの会報誌、本立てには水曜どうでしょうの写真集」。
編集M 親子二代ファンの方も。佐藤さん、19歳。「両親は『モザイクの夜3』からの筋金入りの大泉さんファン。私が子どもの頃観ていたのは『おかあさんといっしょ』ではなく、『水曜どうでしょう』でした。それで言葉を覚えたと言っても過言ではありません」。
ひらりさ 北海道どころか世界に聖地巡礼も。ちろ助さん、20代。「欧州一人旅に出る直前に『水どう』のヨーロッパ・リベンジを見返してしまい、急遽旅程にノイシュバンシュタイン城とネルトリンゲン行きをぶっ込みました」。
ユッケ『探偵はBARにいる3』の遠征も。あんこさん、30代。「エキストラ募集に東京から応募してホテルと飛行機を取るも、結局抽選にハズレて普通に札幌観光しました」。エアーで取るの、わかる! 私も公演チケット取れてないのにエアーで予約します。
かん NACSって、メンバー同士の関係性萌えがありますよね。『おそ松さん』『TIGER&BUNNY』みたいな。『探偵は~』の大泉さん演じる探偵と、松田龍平さん演じる高田も、もちろん関係性萌え。
(デスクにあった「ジャンボリー」イベントDVDを手に取り)……え、ちょっと待って、これ「ドリライ(注)」じゃん!? え、やばい‼ 素敵!
注:「ミュージカル テニスの王子様 DREAM LIVE」の略。ミュージカルキャストがライブ形式でミュージカル曲を歌うイベント。
編集M あ、それは大泉さんが所属しているOFFICE CUEさんのイベントですね。2年に1回、約2万人強が北海道に集まるんです。
ユッケ もはや経済をまわしている。素晴らしい……!
■大泉さんのハードボイルドと男の哀しみを観てほしい
――ここからは、東映の宣伝Tさんも加わって『探偵はBARにいる3』のお話をうかがえますでしょうか?
ひらりさ 私たち、実はシーズン1と2は観ていなくて、今回初めて拝見したんです。でも、キャラがすっと入ってきて面白く観られました。
かん 1話完結ものとして、3からで充分に楽しめました‼ 「シリーズだから」と腰がひける必要、全くなかったです。
ひらりさ アクションがいっぱいで、結末が最後まで全然予測できない。(探偵役)大泉さんが裸でマグロ漁船に乗せられるシーンが一番印象的だったんですけど、どうやって撮影したんですか?
東映T あれはリアルなんですよ。極寒の海で、本当に裸で。監督はガウンを着て撮影するつもりだったんですけど、大泉さんが面白いなら裸になるよ、と自らおっしゃって。
ひらりさ プロフェッショナル!
かん 大泉さんのイメージ、めっちゃ変わりました。ハードボイルドでそこはかとない男の哀しさが漂って、ブラック・ジャックっぽいかっこよさ。「男はつらいよ」シリーズの寅さんみたいな人情もありました。
ひらりさ 松重豊さん(桐原組若頭・相田役)や田口トモロヲさん(隠れゲイ記者役)、みなさん演技力が素晴らしくて、すぐ親近感がわきました。本当にススキノにいそうな感じ。探偵が、そういうススキノの男たちに愛されているわちゃわちゃした感じもいいんですよね。個人的には、「探偵は男とくっついてくれ」と思いました(笑)。
かん ちなみに誰と?
ひらりさ 高田とはつかず離れずのまま、リリー・フランキーさんが演じた敵役の北城仁也と。
かん 予想外!(笑)
ひらりさ 北川景子さんのマリがいる上で、お互い意識しあってるみたいな(笑)。北城はサディステックに探偵と敵対しつつも、心の奥底では想っているわけです。
■志尊淳さんは若手俳優の星!
かん 失踪した女子大生・諏訪麗子役の前田敦子さんもかわいかった。私、女子ドルオタ時代もあったので、あっちゃん大好きなんです。キラキラ要員ではなく、脇役として演技力を期待されている。大人の方たちとしっかりドラマを作りあげている感じがファンとして誇らしかったです。役柄も、弱い女性かと思わせて実は一番したたか。アイドルって表と裏・光と影があるものなので、そういうところともリンクしてます。
ユッケ 波留役の志尊淳さんもよかったよね。最後、高田との一騎打ちの格闘シーン、キレキレだった。
かん あれ、おいしかったー! 志尊さんが子犬っぽい役じゃなくて、ああいうクレージーな男を演じているのがいいんだよね。あの演技観たら、自分の推しに波留役やってほしいと思うよね?
ユッケ 思う! やってほしい、私の推しに! 2.5次元若俳オタクは、全員思うはず。推しもあそこまで登りつめてほしい。だって松田龍平さんと対等に闘ってるなんて……!
かん 若俳オタクが心配しがちなことの1つとして、推しの5年後、10年後のことがあると思うんですよ。ちゃんと役者として活躍し続けられるかっていう。
ユッケ 志尊さんは「テニミュ」の希望の星なんです。2ndシーズンの卒業メンバーの中でも、かなり活躍している方なので。
東映T 波留役は、ご本人もやってみたかったキャラクターらしく、この役が出来てよかったと喜んでおられました。映画のプロデューサーにも、今回の映画のような役をやってみたい!と当時からおっしゃっていたようです。
ユッケ 東映さんに御礼を言いたいです(笑)。
■高田はオカンで探偵は「姫」?
かん でもやっぱり、松田龍平さんの高田がやばい。探偵の相棒兼運転手。普段は北大農学部の助手で空手の師範代って、ムカつくくらいかっこいいですよね。頭脳派で、この容姿でめっちゃ強いって、ギャップがいい! 高田はホントにやばい!
編集M すっごいマニアックな鑑賞の仕方ですけど、食事シーンをガン見していたら、お箸の使い方とかから、高田の溢れ出るお育ちの良さを感じてしまいました。インテリジェンス感、良いですよね(笑)。
ひらりさ そして探偵と高田は、お互いに結構個人主義なんですよね。微妙な距離がある。一番近いからこそ遠いというか。最後の格闘シーンもあくまでそれぞれの能力に任せていて、でもいつも互いの動きは把握している。この付かず離れず感、やばいです。
かん めっちゃ萌えた二人のシーンがあって。エンドロールの直前、二人が別々の方向に分かれるじゃないですか。そのとき高田は振り返らずに行っちゃうんだけど、探偵は高田を見てる。普段は高田が探偵を構ってあげてるんですけど、このときだけは関係が逆転している。心の中で本当に頼っているのは、探偵のほうなんだなっていうのが見える。あれは萌えポイントでした。
ひらりさ 高田のオンボロ愛車・高田号のシーンも超かわいかったですよね。
かん そう! バブバブって車を子育てするみたいにあやしてあげる。
ひらりさ 高田のオカンぽさがね。松田龍平さんはどちらかというと、「お世話したい」系キャラが多い印象があったので、それも新鮮でした。
ユッケ でも、そんな完璧な高田が世話をしているのは……。
かん そこですよ! 女子をつかむのは。高田に想われている探偵、というところで探偵の価値が著しくアップ。この映画では、高田が探偵を世話、というか子育てしてるみたいな(笑)。
ひらりさ 探偵って実は、車運転できないしケンカ強くないし、あまり何もできない。「姫」でしかない。探偵は完全に高田の「姫」です。
かん 二次創作もいっぱい読みたくなっちゃう。原作や映画に描かれていない二人の余白を埋めたくなっちゃいますね。
ユッケ 二人って、ちょっと2.5次元ぽいですよね。ちゃんとキャラが立っていて。オフでもこの関係性だったら萌えるな~。
東映T 実際近いんじゃないかなぁと思います。とても素敵なコンビネーション。大泉さんは松田さんが大好きだし、松田さんもインタビューで、高田みたいに探偵役を演じる大泉さんをずっと見続けていたいっておっしゃっていました。
■元旦にも観たい『探偵はBARにいる3』
ユッケ ちなみに、私の周りのV6オタクってTEAM NACSファンが多いんですよね。イケてるおじさん集団って共通点があるのかな?。NACSの人たちを見ていると、正月に会いたいな~って思います。親戚の家に行ったら会えて超嬉しい、みたいな。
ひらりさ 確かに。絶妙な親近感。
かん まさに寅さん的な。『探偵はBARにいる3』も正月映画として観るのもいいですよね。ちょっと大泉さんに会いに行く感じで。
ひらりさ 私、毎年、元日は映画館に行っているんですよ。毎月1日って映画安いじゃないですか。元旦映画の日だし、他に開いているお店が少ないから、意外にお客さん多くて、楽しいんです。『探偵は~』は女子一人で観ても、友達と一緒に行っていっぱい笑い合うのもすごくいいと思います。
編集M 私はご両親を連れて行くのも推奨しています。マンガ原作だったりすると、両親世代はなかなか分からないみたいで。「探偵~」は両親世代にも自信を持ってオススメできる映画だと思います。
ユッケ 確かに。年末年始の親孝行になります。あと、応援上映したいですよね。バトルシーンとか、叫びたい。
ひらりさ いいね! 映画って、舞台に比べたらものすごく安いですし。
ユッケ 普段舞台オタクが浪費しているのと比べたら、全然コスパがいい。
ひらりさ チケット代を大泉さんの出演シーンの分数で割ったら実質タダですよ。実質タダで大泉さんが観られる(笑)。
編集M ちなみに最後に個人的な質問いいですか?(笑) みなさんにとっての大泉さんの魅力を教えていただけますか?
かん 私、高校生の頃、大泉さんに“ガチ恋”だったんですよ。北海道行って大泉さんの看板と一緒に写真撮ったりしてました。
ユッケ&ひらりさ え!?そうなの!! 知らなかった!
編集M 実際、大泉さんって背が高くて、すらっとされてるんですよね。スタイルよくって。かっこいいです。
かん そう、かっこいいのにあえて三枚目でいるところ、魅力的です。
ひらりさ 私は『探偵は~』のようにエンタメを完璧にやり抜いている作品を観ると、とても幸せな気持ちになります。これをずっと続けたいとおっしゃる大泉さんは、本当にファン愛に溢れた方なんだろうなと思います。
ユッケ 将来、自分の推しに大泉さんのような役者になってほしいです。演技はもちろん素晴らしいし、あえて三枚目をやっているけど深く掘ると、実はやっぱりかっこいい。若手俳優が、大泉さんのような存在にステップアップしてくれたらいいなと思います。
かん じゃあ、『探偵は~』は若手俳優のみなさんにも見ていただきたい映画ですね。
ユッケ 若俳の経典としてね。若手俳優のみなさんも、この冬はぜひ『探偵は~』を見に映画館へ!(笑)
取材・文=松井美緒
【作品情報】
『浪費図鑑 -悪友たちのないしょ話-』
劇団雌猫 小学館 1000円(税別)
それぞれ違うオタク趣味を持つアラサー女性4人組サークル・劇団雌猫。その大人気同人誌「悪友」から、ついに書籍が誕生。あんスタ、若手俳優、同人誌、乃木坂46など様々な対象に愛を注ぐ女性たちの、赤裸々な「浪費」実態が明らかに!
映画『探偵はBARにいる3』 公開中
原作:東 直己「ススキノ探偵」シリーズ(ハヤカワ文庫)
監督:吉田照幸
出演:大泉 洋、松田龍平、北川景子、前田敦子、鈴木砂羽、リリー・フランキー
配給:東映
失踪した恋人を探してほしい。高田の後輩からの依頼を引き受けた探偵は、モデル事務所のオーナー・マリと出会う。彼女は札幌 の裏社会で暗躍する北城グループの代表・北城の愛人だった。しかし探偵は、マリに微かな既視感を覚えていた。最高のコンビの最大の危機が幕を開ける!