自分で思っている以上に身体は疲れている…危険な「隠れ疲労」を取り除くカギは?
更新日:2018/1/22
睡眠時間を削って仕事に勤しむ。一時的であれば特に問題はないのだが、これが1か月近く続くと、どうも疲れてしまうらしい。そのせいもあって、先日身体を壊してしまった。以前は野菜ジュースを2パックがぶ飲みして、1日安静にしていれば大抵治ってしまったものだが、今回の風邪は長引き、万全な状態までかかった日数は4日。老いがゆっくり迫っている恐怖を感じたものだ。
だが、今回のテーマは老いではない。それは、風邪を引いて寝込む前、私は疲れているという自覚が一切なかったということだ。仕事や勉強で集中し、気を張っていると、本当は疲れているはずなのに「疲れた」と感じない。そんな経験がみなさんにもあるだろう。そんな状態になると、つい休むのは後回し。「まだまだイケるぜ!」とさらに頑張りたくなってしまうものだ。
そして、この一種のトランス状態の末路として、私は風邪を引いた。本人が自覚しないうちに少しずつ疲労が溜まり、体調を崩していた、ということだ。
そんな本人すら感じることができない「隠れ疲労」の正体や対処法について述べられているのが『隠れ疲労 休んでも取れないグッタリ感の正体』(梶本修身/朝日新聞出版)だ。
「疲れた」と感じたらあなたはどうするだろうか。休日にゆっくり休むなど対策をとり、疲れを取り除こうとするはず。そして、疲れを感じながらも放置すれば、身体を壊し、最悪の場合、死に至ることも。本書で述べられている隠れ疲労も感じることができる疲労と同じで、放置すれば死の危険がある。
とはいえ、感じることができない隠れ疲労を見つけるためにどうすればいいか。それは身体が発する疲労蓄積のサインを見逃さないことだ。そのサインとは以下の6つ。
(1)何事もすぐに飽きてしまう
(2)電車に乗ると、次の駅に着くまでに“寝落ち”する
(3)起床4時間後に、眠気やだるさがある
(4)口唇や脇にヘルペスができる
(5)夜中に何度も目が覚める
(6)ツーンとする体臭がする
これらに身に覚えがある方は要注意。知らず知らずのうちに疲労が溜まっているということだ。溜まってしまったものはしょうがない。疲労をとるためのアクションを起こさねばならないだろう。
そこで、考えつくのが「熱いお風呂に入って汗を流す」や「運動をする」、「うなぎや焼肉といったスタミナ料理を食べる」など。しかし、これらは疲労回復効果が期待できない。果ては逆に身体を疲れさせてしまうこともあるそうだ。せっかくやるのであれば、効果がある対処法。ということで、本書では効果的な対策として食事と睡眠が挙げている。
食事では抗疲労効果が期待できる「イミダペプチド」と「クエン酸」を上手に摂取することが述べられている。クエン酸はレモンや梅干しなど酸っぱい食べ物に含まれているイメージだが、イミダペプチドは初耳。これは鶏むね肉に多く含まれているそうで、コンビニなどで購入でき、ダイエット食としても人気がある「サラダチキン」がおススメだそう。そのまま食べても美味しいのだが、毎日食べると飽きてしまう…という人向けに簡単にレシピが掲載されているので、有効活用してみてほしい。
だが、食事では根本的な疲労をとることはできないそうで、疲れにくい身体を作るだけだという。では、根本的に疲労を取り除くためにできることは何か。それは睡眠で、睡眠だけが唯一の手段だという。だから、より疲労を取り除くために必要なのは睡眠の質を上げること。具体的には「決まった時間に起きる」「寝る1時間前にリラックスタイムを設ける」「照明をオレンジ色にする」などが本書で挙げられている。他にもNGな行為なども挙げられているので、本書をご確認いただきたい。
過労死してしまった遺族の中には、「疲れている素振りが見られなかった」と話す人もいるそう。本人が気を付けるのはもちろん、周囲の人も家族や友人の隠れ疲労が溜まっていないか、確認し、声かけすれば、過労死の発生を減らすことができるかもしれない。
文=冴島友貴