悩み解決は足裏にあった! 不眠症から冷え性までコレで解決
更新日:2018/3/1
寝だめという言葉があるが、睡眠不足は寝だめでは解消されないのだという。そして「睡眠負債」として溜まっていくというのだ。「睡眠負債」を抱えていけば、肥満や成人病といったリスクが高まると、『生活習慣を変えなくても、深い眠りは手に入る』(今枝昌子/山と溪谷社)の中に書かれている。本書によると日本は世界でも有数の不眠大国で、睡眠時間が1日6時間未満の人は増加傾向にあるという。と、書いておきながらかくいう自分もそのひとりである。世間の人はそんなに寝ていないものかと、何とも気の毒である。
しかし、「睡眠負債」というのは何とも面白い表現だ。必要な睡眠時間には、もちろん個人差はある。誰にでも同じだけの睡眠時間が必要というわけではない。5時間で十分という人もいれば、8時間寝ても足りない人もいる。本書の中には「睡眠力チェック」があるので、まずはそこで自分の睡眠の質を知るところから始めてみよう。試しにやってみると黄色信号と出た。睡眠時間は短いが、寝つきが悪いわけではないのだ。仕事の事情で眠る時間が削られているだけなので、こういう結果として出たのだろう。しかし、寝る時間がたっぷりあっても眠れない人にとっては相当辛いのではないだろうか。本書は、そんな眠れない人のための本だ。
本書には、眠れない状態を解決する方法が書かれている。長く寝るというより、いかに「上質な睡眠」をとるかということだ。その解決策として足裏マッサージに注目し、そのやり方が紹介されている。著者である今枝昌子氏は「スリープケアマスター」という肩書きを持っている。一般社団法人日本快眠協会代表理事であり、日本睡眠学会会員だ。リフレクソロジーを学び、およそ6000人の足裏を見てきたという、睡眠と足裏のプロである。
本書では、自分の睡眠チェックの後は睡眠不足から誘発される心身の影響について解説されている。そして、足裏は「第2の心臓」とも言われるほど健康を保つ上で重要であることが分かりやすく書かれている。と、これだけで終わるわけではない。後半からはいよいよ実践に入るのだ。つまり、自分でできる足裏マッサージの方法とコツがまとめられている。足裏に集まるさまざまなツボの説明、そしてビー玉やスーパーボールを使ってのマッサージから、指での指圧とマッサージのやり方が図解で丁寧にまとまっているのだ。足裏なので、誰かにやってもらう必要もない。寝る前やお風呂あがりに簡単に実践できるのもよい。確かに、肩や背中のマッサージは自分では無理だが、足裏なら簡単にできる。しかも、1日1分でも効果は得られるというから嬉しい。
本書は、単純に「眠れない人」という大雑把なくくり方をしていない。眠れない原因のタイプを「怒りを感じて眠れないタイプ」「デトックス・タイプ」「ホルモン・バランスが崩れているタイプ」そして「不安で眠れないタイプ」の4つに分けて紹介し、それぞれに対応したマッサージを解説している。自分がどのタイプか分からないという人も、チェックできるようになっているので判断がしやすい。
足裏や足元を温めるのは、普段の暖房の使い方でも重視したい点だ。足元が冷えてしまうと血液の循環が悪くなるし、確かに眠れない。女性の場合はさまざまな身体の不調にもつながりやすいと言える。応急措置として足湯や温かい飲み物を摂るのもいいだろう。しかし、根本的な解決としてマッサージはかなりおすすめである。何かと忙しい現代人にとっては、睡眠時間に合わせてスケジュールを調整することは難しい問題だ。生活習慣を変えずに深い眠りが手に入るのは、何よりもありがたい。そして、それは健康につながるのだ。
文=いしい