日常を蝕む“メタボ家計”とは? 知っておきたい、やりがちな「隠れ貧乏」の習慣
公開日:2018/1/4
“人生100年時代”と言われる昨今、暮らしに困ってはいないけれど、老後の生活資金までしっかり貯められているかというと、不安な人の方が多いのではないだろうか。
これまで1万人以上の赤字家計を再生してきた庶民派ファイナンシャルプランナー・横山光昭氏によると、貯められない人ほど「特別な贅沢はしてないのに」と言うことが多いのだとか。では“貯められる人”になるにはどうしたらいいのか。氏の近著『「隠れ貧乏」から「貯蓄体質」へ大変身! 1日500円の小さな習慣』(幻冬舎)に学んでみたいと思う。
■通勤前のカフェラテが“お金の失敗”の始まりだった!
「贅沢はしていないのに、貯められない」という人の多くは、穴の空いたバケツのように、気付かないうちに家計に穴が空いていて、そこからチョロチョロとお金が漏れてしまっているのだという。その穴の正体が、通称“ラテ・マネー”と呼ばれる出費だ。
通勤前にコーヒーショップで買うカフェラテや、気合を入れるために飲むエナジードリンクなど、毎日何気なく使ってしまう、クセになっている出費はないだろうか。1回の出費は少額でも、カフェラテ1杯300円なら30日で9000円、積もり積もって年間10万円以上もの金額になる。
問題はカフェラテがその人にとって必要かどうかではない、「300円くらい、いっか」という考え方にある。これがすべての「隠れ貧乏」の根源であり、ワンコイン(500円)の重みを意識できるかどうかが「貯蓄体質」の人との大きな差なのだ。
■「普通の生活」が落とし穴! 日常を蝕む“メタボ家計”とは?
また、高級車に乗ったり、ブランド品で身を固めたり、分不相応の暮らしをしているわけではないのになぜかお金が貯まらない。「ごくごく普通の生活をしているだけ」という人は、その「普通の生活」が隠れ貧乏の原因になっていることが多々あるという。
氏によれば「年収300万円で年間100万円貯金できる人もいれば、年収1000万円で貯金0の人もいる」とのこと。そして、高収入な人が陥りがちなのが、あらゆる費目がおしなべて高めになっている“メタボ家計”の罠だ。
「食費も日用品費も、このぐらい“普通”に暮らしていればかかるでしょ」「教育費にこのぐらいかけるのは、今どき“普通”じゃないの」と、自分の“普通”の感覚を疑わないまま、あらゆる費目でちょっとずつ支出がオーバーし、気付いたら万遍なく脂肪がついている“メタボ家計”。
シャンプーひとつとっても、奥さんはヘアサロンで買った1本1800円のシャンプー、旦那さんはドラッグストアだけれど、スカルプケアもできる1本1500円のシャンプー、なんて使い分けてはいないだろうか。「たかがシャンプー、少しぐらい贅沢したって」という考え方が隠れ貧乏の元。一つ一つの費目が少額でも、積もり積もってじわじわと家計を蝕んでいるのだ。
夫婦2人でシャンプーやティッシュなどの日用品費1万円は高いか、安いか。家族4人で食費5万円は高いか、安いか。それぞれの費目の目安となる金額は本書を読んでいただくとして、収入はあるのに貯金できない家庭のほとんどは“普通”の感覚が周りとズレていたり、家計に何らかの異常があったりするという。「貯蓄体質」になるためには、一刻も早く自分の家計の何が異常か、発見する必要がありそうだ。
本書では他にも「合言葉は『ショーロート―』。消費・浪費・投資の理想的な割合とは?」「月収×6か月分。「生活防衛資金」の上手な貯め方」「iDeCoは最強の老後資金確保術!」など、家計管理が苦手な人にこそ役立つ、わかりやすい手法が数多く紹介してある。
わからないから放っておくではなく、わからないからこそ、一度しっかり自分の家計を見つめ直す。それが“人生100年時代”を生き抜くために欠かせない一歩であることは間違いないだろう。
文=八巻奈緒