真田丸も直虎も、西郷どんも! 大河ドラマの舞台になった城も多く選出された日本の100名城の魅力!【写真あり】
公開日:2017/12/30
世間的に視聴率がふるわなかったといわれているNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』だが、ビジネスジャーナルでは「視聴率低迷も歴史に残る名作!」と銘打ち記事が出るなど、実際に観ていた人たちからの評判は上々。Twitterトレンド大賞のドラマ部門ではツイートランキング1位も獲得したほど。実は、柴咲コウ演じる井伊直虎が守り抜いて井伊家が後に築いた彦根城も、日本全国に3~4万もあるといわれている城から「100名城」にも選ばれるほど評判が高い。
そこで、直虎完結を記念してロングセラーにもなっている『日本100名城に行こう 公式スタンプ帳つき』(公益財団法人 日本城郭協会:監修/学研プラス)をご紹介しよう。
この「日本100名城」、日本城郭協会が、文部科学省と文化庁の後援は得て、城郭愛好家からの推薦をつのり、専門家の選定会議を経て決定したという本格的なもの。選考基準は3つ。(1)優れた文化財・史跡であること、(2)著名な歴史の舞台であること、(3)時代・地域の代表であること。そのなかで彦根城は「戦国的な気風の残る実践的な城」として紹介されている。彦根城博物館の常設展では井伊家の甲冑など大名道具を中心に展示を行っているというから、直虎ロスのファンにはぜひ足を運んで気風を感じていただきたいところだが、1城1ページ、オールカラーで見どころを紹介しているこの本をきっかけに、ぜひとも国内の城めぐりに活用していただきたい。
というのも日本の城、歩いてみるだけでずいぶんと面白いのだ。たとえば有名な白鷺城(はくろじょう・しらさぎじょう)こと姫路城。「天守の美しさ、複雑な縄張など、困るくらいに見どころが多い」と評されるように注目すべきは外観だけではない。攻め入ろうとする敵方を翻弄するための細かな仕掛けがそこかしこに満載で、「なんて賢い……!」と感動すること請け合い。それでいてけっきょく一度も戦場にはならなかったというのだからそれもまた味わい深い。
でもなあ、城に興味があるわけじゃないし、歴史にとくに詳しいわけじゃないし、大河ドラマが好きなだけ。という人にこそ本書はおすすめしたい。直虎前の『真田丸』に登場した上田城も、次の『西郷どん』に大きく関わってくるだろう熊本城も、名城に選出されている。たとえば上田城の見どころ解説。本丸の櫓の構造を説明したうえで「尼ヶ淵から仰いで見るのもよい」と添えられている。その一言だけで、情景と歴史の歩みを味わいながら静かにその場所を堪能してほしい、それだけの価値があるのだという城郭好きたちの想いが伝わってくる。1城あたりの説明は多くないが、詳しくない人たちにはどれも同じに見えてしまいがちな城の景観やつくりのひとつひとつを、違いがわかるように特色を示し、興味を誘う一歩としてくれる。もっと詳しく知りたければそれこそ足を運んでみればいいのだから、持ち歩くのに軽くて薄いこの一冊はガイドにうってつけなのである。
なお、巻末には日本100名城のスタンプを押せる公式スタンプ帳つき。制覇して日本城郭協会へ送付すれば登城完了認定印とともに、制覇順位を登録してもらえる。2018年は御朱印ならぬ城スタンプ集めで始めてみるのもいいかもしれない。
文=立花もも