ダンゴムシの気持ちって? 大人も子どもも楽しめる“生きものになれる展”レポート

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公開日:2017/12/28

 現在、東京・お台場の日本科学未来館で「MOVE 生きものになれる展―動く図鑑の世界にとびこもう―」が開催されている。シリーズ累計250万部を突破した講談社の図鑑『動く図鑑「MOVE」』をテーマにした企画展は、大人から子どもまで、自分が生きものに“なりきる”ことで生物多様性を学ぶという貴重な体験ができる。


 企画展のメインビジュアルを見るだけでも内に秘める“ワクワク感”が溢れ出るほどだが、実際にどんな体験ができるのか。その様子をレポートしていこう。

◎ダンゴムシになってみて芽生えた「ごめんね!」という気持ち

 入り口を抜けると、その空間にはさまざまな自然が広がっている。ジャングルに始まり、北極や南極といった生きものにとっての“極限の地域”まで、地球上を再現したあらゆるブースを巡ると、人間の視点では味わえないようなさまざまな体験ができる。

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 初めに訪れたブースは、枯れ葉の敷かれた木の根元でダンゴムシになりきれる「鎧をつけてダンゴムシになろう!」だ。背中からかぶれるダンゴムシのスーツを着られるだけではなく、脚に見立てた杖で天敵のアリになりきることもできる。


 スーツのサイズはS・M・Lと3サイズが用意されているので、自分の体形にピッタリな一着を選べるから安心。実際に着てみると、殻の中では“音がこもる”ような感覚もあった。そして、ただ突っ立っているだけではなく、ダンゴムシの醍醐味といえばやはり丸まってみること。頭の部分をつかみ、殻にくるまれると彼らが「こんな風に感じていたのか」と思わせられる。


 ただ“自分の世界”にこもるだけではなく、アリに扮したスタッフの方にお願いして実際に攻撃してもらった。杖で突かれるたびに殻の中では「コツコツ」と音が聞こえてきて、その感覚も伝わってくる。子どもの頃、ダンゴムシを突っついて遊んでいた記憶もあるが、自分で味わってみるとこれがまたけっこう怖い。心の中でそっと、あの日のダンゴムシたちに「ごめんね! 本当ごめん……」と謝りたくなった。

◎太古の生物・メガロドンの迫力に圧倒される!


 続いて訪れたのは、南極を再現したコーナーにある「ペンギンになって氷をすべり抜けろ!」である。ペンギンになりきってお腹を使い氷上を滑り抜ける体験ができるが、滑り台の先で待ち構える、牙をむき出しにした高さ3メートルほどの太古の生物であるサメの一種・メガロドンの表情が何よりもインパクトあり過ぎ。そして、めちゃくちゃ怖い!


 撮影のためやむなく、スタッフの方に実践してもらった。行き着く先はメガロドンに“喰われる”ことなのだが、人間がなかなか行くことのできない南極は熾烈な生存競争が繰り広げられる場所としても知られる。ペンギンたちの生態を味わえるのはもちろん、太古にはこんなにも大きな生きものが「捕食していたのか」とロマンを感じずにいられなかった。

◎百獣の王・ライオンもひょっとするとビクビクしてる?


 サバンナを再現したエリアには、草食動物にバレないようそっと近づくゲーム性の高い「ライオンになって獲物に跳びかかれ!」がある。奥にいるシマウマにばれないよう、草むらや岩の陰に隠れながら、無事にたどり着けるかどうかを体験できる。


 実際に体験してみると、これがなかなか難しい。モニター上に映る動物の様子を見きわめながら少しずつ進むのだが、緊張感もあいまってかスタート地点からシマウマまでの6メートルほどの距離が、心なしかはるか遠くに感じられるほど。百獣の王として知られるライオンだが、意外にも、内心は「めっちゃビクビクしながらサバンナで暮らしているのでは?」と思わされる貴重な体験だった。

◎全長4.5メートルの肉食恐竜「ラプトル」も登場!

 他にも、水面に見立てたやわらかなマットの上を駆け抜ける「バシリスクになって水上をはしれ!」や、生きものの糞の形や匂いを学べる「あの生きもののにおいをかいでみよう」など、生きものと同じ目線に立ってさまざまな貴重な体験を味わえる。


 また、平日限定(一部を除く)で恐竜の体験型ライブショー「DINO-A-LIVE」とのコラボレーションも実施。全長4.5メートルの肉食恐竜「ラプトル」が実際に目の前で暴れ回ったりと、自分で学び、発見しながら楽しめる内容が盛りだくさん。ひと通り巡ったあとは、大人も子どももきっと「生きものって奥が深い!」と心から叫びたくなるはずだ。

<イベント情報>
MOVE 生きものになれる展―動く図鑑の世界にとびこもう!―
http://zukan-move.kodansha.co.jp/nareru/
会場:日本科学未来館(東京・お台場)
会期:開催中~2018年4月8日
料金(当日券/個人/税込み):大人(19歳以上)1900円、シニア(65歳以上)1700円、中人(小学生~18歳以下)1300円、小人(4歳~小学生未満)1000円

取材・文・写真=カネコシュウヘイ