才色兼備なJKは、ミステリーが絡むと大暴走! ミステリー×日常系の話題作『じけんじゃけん!』最新巻では、ついに恋の進展が……?

マンガ

更新日:2018/2/5

『じけんじゃけん!』(安田剛助/白泉社)

 ミステリーフリークにとって、奇想天外なトリックや予測不可能な犯人といったギミックは知的好奇心を満たすスパイスのようなもの。それらが複雑であればあるほど、一種の中毒のようにハマっていく。そんなミステリー愛好家を記号化したのが、『じけんじゃけん!』(安田剛助/白泉社)のヒロイン・白銀百合子だ。

 容姿端麗で高嶺の花と一目置かれる百合子の本性は、ちょっとひいてしまうくらいのミステリーマニア。想いを寄せてくる後輩・戸入を相手に、放課後になるととにかくミステリー談義に花を咲かせるのだ。しかも、ときには身をもってトリックを再現し、彼女に盲目的になっている戸入をも困惑させる始末。締め切った蒸し暑い教室で密室殺人の犠牲者に扮したり、毒入りの水と称した塩水をがぶ飲みしたり……。そこまでやるか。

 物語は1話完結形式で展開されていくのだが、毎回、必ずミステリー要素がモチーフとされる。アリバイ、コールドリーディング、クローズド・サークル、双子トリック。いずれも古今東西の作品で扱われているテーマなので、ミステリー好きならばニヤッとしてしまうだろう。ただし、本作はあくまでも日常系ラブコメ。実際に事件が起こることも、誰かが殺されることもない。ただひたすらに、百合子と戸入、そして、サッカー部のマネージャー・ひまわりや百合子に憧れイギリスからやって来たアイリスらのやり取りが繰り広げられるのである。

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 12月26日(火)に発売された第3巻では、百合子がどうしてミステリーにハマるようになったのかが描かれている。それは彼女が8歳の頃にさかのぼるのだが、「サンタの正体」を巡るそのエピソードは、実にほっこりする読み口だ。

 そして、もちろん、百合子と戸入の恋にも進展が訪れる。ラストに収録されるエピソードで、デートをする2人。そこで戸入は百合子の本心を探ろうとするのだが……。前述の通り大きな事件が起こらない本作において、一番の謎は、百合子の戸入に対する気持ちかもしれない。ただの後輩として見ているのか、それとも異性として意識しているのか。その真相を明らかにすべく、読者は2人の行く末を見守ることになるだろう。

文=五十嵐 大