細田守監督、最新作『未来のミライ』は「子どもの目線から“人生”を見つめ直す作品」
公開日:2018/1/26
先月 13日、映画『サマーウォーズ』などで知られる細田守監督の最新作『未来のミライ』発表記者会見が都内で行われました。これまで家族をモチーフにした作品をさまざま生み出し続けてきた細田監督ですが、今回の主人公は4歳のあどけない表情がかわいい男の子。未来からやってきた妹との“家族の歴史”を巡る壮大な冒険が描かれます。
本作の舞台は、海から近い丘にある“家一軒と庭ひとつ”。甘えん坊の4歳の男の子・くんちゃんと、未来からやってきた妹・ミライちゃんというちょっと不思議な“きょうだい”が登場するファンタジー作品です。
目を引くメインビジュアルには、くんちゃんとミライちゃんが大空で手を繋ぎ合う姿が描かれていますが、そのイラストには「子どもたちが大人の想像力を超えて飛び跳ねる姿」が表現されていると細田監督は語りました。旧作の『サマーウォーズ』や『バケモノの子』などでは、登場人物たちが仁王立ちする姿が描かれていましたが、「2人が空を飛んでいることで、よりダイナミックさを表現できました」と本作ならではの変化もあったようです。
さらに、監督自身が「自分自身のチャレンジ」だとするのは、4歳の男の子が主人公だということ。現在、5歳の息子さんと2歳の娘さんを持つ父である細田監督は「自分自身は一人っ子で、子どもを育てたことで兄妹が“母の愛”を奪い合う攻防があると知りました」と語り、「彼らの目線から“人生”という大きなテーマを見るとどうなるか。そこから見つめ直せば、世界の新たな面白さが発見できるのではないかと思いました」と制作の経緯を明かしてくれました。
また、7月20日という公開日にこだわりをみせたというのは、監督と共に登壇したスタジオ地図のプロデューサー・齋藤優一郎さんです。ちょうど夏休みのはじまりにあたる日だからこそ「子どもたちのワクワク感が溢れているのではないか」と、その理由を語っています。
細田監督といえば『サマーウォーズ』では親戚同士、『バケモノの子』では父親と、家族をモチーフにした作品が目立ちます。今回もそのモチーフは変わりませんが、監督は「家族の作品を作り続けているのはきっと、テーマとして描ききれていないから」と語り、「本作は、妹に両親の愛を奪われた男の子がそれを取り戻そうとする冒険でもあります。家族の価値観が変化している時代だからこそ、大人にとってもその意味を見つめ直せる作品に仕上げられれば」と公開に向けて意気込みを語ってくれました。
取材・文=カネコシュウヘイ