「新興宗教」「カルト」を身近にしたコミックエッセイが大反響
公開日:2018/2/6
ここ数年、新興宗教の実態を綴るエッセイが多数登場している。先駆けは、2013年に出版された『カルトの思い出』。作者の手持望が、いかにカルトに傾倒し脱退したかを振り返り、自責の念を込めて描いた作品だ。赤裸々な内容に衝撃を受けた人は多いだろう。また、2016年に出版された『カルト村で生まれました。』は親の都合で「カルト村」で生まれ育った高田かやの少女時代の回顧録だ。親と別々に暮らすなど、一般社会と異なる価値観の中で暮らした日々が柔らかな画風で描かれ、暴露本のような誇張したキャッチーさがない分、よりリアル。続編が出るなど、大きな反響を呼んだ。
最新では昨年末に出版された二世信者の体験談『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』(いしいさや)も意欲作だ。大好きな母親が信じる宗教を信じてあげたいが、どうしてもなじめない。宗教の事情で普通の子ども時代を送れなかった作者の苦悩の日々が描かれ、胸に詰まるものがあった。
いずれの作品も単純な新興宗教批判にとどまらない。人間の弱さや救いとは何かを考えさせられる。
文=倉持佳代子