腐男子×腐女子! 腐った2人のヲタ充&リア充なラブコメ
公開日:2018/2/1
ヲタクだって、腐ってたって、恋もするし恋人ができることもある。でも、できても趣味はやめられない。ヲタクであることも、腐っていることも、本能であり本質なのだ。そんな“腐”な人間に好きな人ができた時、ぶち当たる壁がある。カミングアウトをするタイミングだ。好きになる前から知られていれば楽なのだが、好きになってから、ましてやお付き合いを始めてから、というのはなかなかに言いづらい。「引くかも」とか「フラれたらどうしよう」とか、そんな感情が渦巻いて、ついだらだらと隠してしまったりする。
『うちの相方(コレ)が腐(コレ)なもんで。』(澄田佑貴/KADOKAWA)の主人公・夏目真琴も、そうやって腐女子であることを彼氏・須藤幸次郎に言えないまま、付き合って1カ月が過ぎてしまった1人だ。しかしある日、幸次郎を自宅に招いた際、真琴は大きなミスを犯した。18禁のBL本を隠し忘れてしまったのだ。だが、思わぬところでカミングアウトすることになった彼女に幸次郎が返した言葉は、「別れよう」でも「腐女子をやめろ」でもなく、「オレも腐ってます」という衝撃のカミングアウト返しだった——。
きっかけは想定外の事態だったが、ここから2人は腐女子と腐男子として新しいスタートを切ったのだった。しかし腐同士と分かれば万事解決、とはいかない。今度はジャンルやカップリングの壁が立ちはだかる。同じキャラクターの組み合わせでも、責めと受けが逆、なんてことが起これば一大事なのだ。そこには深い深い溝がある。また、BL内でもジャンルが細かく枝分かれしており、それぞれ推しジャンルへの強い愛を持っている。
真琴と幸次郎は、時に共感し、時にカップリングやジャンル違いの壁に阻まれ、時に新たなジャンルに開眼しながら、“腐カップル”としての道を歩んでいく。ジャンルの壁は消せないが、お互い腐であることを理解し合い、男女としても“腐レンド”としても楽しく付き合っている様子は、なんとも羨ましい。
また、「性なる遊牧民」「納豆は大豆に戻れない…!!」など、腐った人なら思わずうなずいてしまう名(迷)セリフもあちこちで飛びかい、読んでいて他人事とは思えない。本書は、恋人がいる人もいない人も、腐ってる人もそうでない人も、“腐”という言葉に何か感じるものさえあれば、のめり込んでしまうこと間違いなしだ。
彼女たちの言動を客観的に見ていると、テンションの高さに思わず笑ってしまったり、変態臭が凄まじかったりするが、よくよく考えてみると自分もやっていたりするから恐ろしい。ぜひ本書を読んで、“あるある”や驚き、発見を探して、腐レンドと語り合ってみては?
文=月乃雫
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