『桜蘭高校ホスト部』『セーラームーン』『ベルばら』…ジェンダーレスな漫画キャラの魅力を解析!
公開日:2018/2/3
2018年1月スタートの新ドラマ『海月姫』。原作はご存じ、東村アキコ先生の大ヒット漫画で、過去には映画化もされました。この『海月姫』に欠かせないキャラクターといえば、そうです蔵之介です。美少女かと思いきや、じつは女装した男の子だった……という設定で、読者を一気に惹きつけます。
蔵之介のようなキャラクターは、古今東西、様々な作品に登場します。大抵、どの作品でも凄まじい存在感を示し他のキャラクターを圧倒します。性別を隠している場合は、「バレる? バレない!?」というハラハラ感。バレたらバレたで、話が転がって面白くなるのです。
さて、そんなジェンダーレスなキャラクターにも元祖と言われる人がいます。『ベルサイユのばら』のオスカル・フランソワです。連載開始が1972年なので、今から46年前。半世紀近くもの歴史があるんですね。
伝説級の名作なので、オスカル=男装の麗人というのは、原作を読んでいない人でもご存じのはず。つまり、今日魅力的なジェンダーレスキャラが多数いるのは、オスカルがいたからこそといっても過言ではありません。
そんなわけで、男装の麗人キャラを集めた表を作ってみました。
『ベルサイユのばら』同様、フランス革命の最中を描いた『イノサン』に登場するマリーも、男装の麗人キャラです。女性でありながら、“処刑人”という男性社会に身を置く強者。突如、モヒカン風ヘアになったかと思えば、貴婦人姿になって憎い相手を処刑に追いやったりと、やりたい放題です。性を超越した衝撃的キャラクター。ただ、根っこがお嬢様なので、時折見せるわがまま娘っぷりが、またいいんですよね。ビジュアルと性格のギャップがとんでもないキャラです。
財宝が眠る時計台を巡るミステリー漫画『幽麗塔』(乃木坂太郎)に登場するのは、ミステリアスな男装の麗人。舞台は、昭和29年。100年以上もの間、止まったままのその時計塔に、莫大な財産が隠されていると知った主人公の天野。偶然出会った謎の美少年・テツオとともに、時計塔の謎に挑みます。
この、謎の美少年テツオの正体は、じつは女性。わけあって、男のフリをして行動しています。読者目線では、テツオが男装の麗人ということがすぐわかるのですが、主人公の天野は、その秘密を知りません。友情と愛情が行き交う描写がなんとも耽美。読み応えたっぷりのミステリーなので、ハラハラしたい人はぜひ一読を。
ドラマ化もしたヒット漫画『桜蘭高校ホスト部』の主人公・藤岡ハルヒも、男装キャラですね。麗人というよりは、美少女。たまたま男子生徒の制服を与えられたことによって、なりゆきで男装することになったのですが、愛らしい顔立ちが幸いし、ホスト部の売れっ子になります。見た目は美少年なのに、お姫様のように扱われるハルヒを見ていると、ほっこりした気分になります。
そして、男装の麗人といったら、忘れてはいけないのが『セーラームーン』の天王はるか。キャラクターのモチーフが宝塚の男役ということもあり、外見もそんな感じです。女性から一目惚れされたり、自らナンパしたりすることもありますが、海王みちるという、れっきとしたパートナーがいます。男と女、どちらの性もあわせ持つという特殊なキャラクターは、当時のなかよしっ子に、大変な衝撃を与えたのでした。
全然男装の麗人じゃないよね、というキャラも表に入ってますね。『らんま1/2』の久遠寺右京こと、ウっちゃんです。正真正銘の女の子ではありますが、初登場時、男の子と間違えられていたため、エントリーです。この“男の子だと思ってたのに、じつは女の子だった!”という驚きは、やはり男装キャラならではの醍醐味。たしか、『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』にもそんな事件があったような。
なかには男装であることが壮大なネタバレになってしまうため、ここではあえて触れなかった作品もあったりします。ナニとは言いませんが、この思いを共有できている方がいると幸せです。
さぁ、男装の麗人の耽美なる魅力を、あなたもご堪能あれ!
文=中村未来(清談社)