子離れ・親離れの準備はできていますか? 卒園卒業・入園入学シーズンにぴったりな絵本

出産・子育て

公開日:2018/2/7

『くまのこポーロ』(前田まゆみ/主婦の友社)

■子どもといっしょにいられる時間は意外と短い!?

 子どもが生まれて以来、「ママじゃなくちゃ、イヤー!」と後追いされて、トイレにまでついて来られ、自分のごはんも立ったまま、ずっと子どものことに追われる……なんて日々を今、まさにお過ごしのママも、振り返ればなんてしあわせな時間だったのでしょう!と、思える日がやってくるはず。子どもとベッタリいっしょにいられる時間は意外と短く、そんな濃密な親子の時間が、これからの子の、親の、長い人生の「生きる力」になっていく。そんなことに気づかせてくれる絵本が2018年2月7日に発売された。『くまのこポーロ』(主婦の友社)だ。

■くまの子別れについてのマタギの伝承「いちご落とし」が教えてくれること


 子ぐまが1才半ほどになり、子別れの時期が来ると、母ぐまは木いちごのなっているところへ連れていき、子ぐまが夢中で食べている間に姿を消す――絵本はこの東北地方のマタギ(猟師)の間に伝わる「いちご落とし」という伝承をもとに描かれている。その日まで、母ぐまは子ぐまへ、生きていく術を教えながら四季を過ごす。


「人間でいうと、この子別れの時期は、何才くらいになるのでしょうか。子育て中には、小さな子離れ・親離れのシーンがたくさんあると思います。そんなときに、親子の会話がうまれるきっかけになることを願って」。『野の花えほん』(あすなろ書房)などで人気の絵本作家、著者である前田まゆみ氏は、あとがきでそう語っている。

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■小さな子離れ・親離れシーンに涙なとき


 成人するまでにはまだ時間があるけれど、子育て中には、小さな子離れ・親離れのシーンが、幾度となく訪れる。そのたびに、わが子を誇らしく思う半面、少しずつ手の届かない、一歩先へ進んでいくのかと、寂しく思う。そんな小さなエピソードをママたちに聞いてみた。


・補助なし自転車にトライし、スイスイ自由自在に好きな場所へ向かう、その後ろ姿を見送ったとき。(5才男の子ママ)
・園に通ってたころのような送り迎えがなくなり、ひとりで大きなランドセルを背負って登校していったとき。(7才女の子ママ)
・自分の好きに遊んで、食べて、寝て、怒ってだった息子が「ママ、食べて」と、クッキーを食べさせてくれたとき。(3才男の子ママ)
・入園したてで離れられず、先生のご配慮で一日中、保育室近くで見守っていたのに、ある日突然「ママ、バイバイ、もう行っていいよ!」と、ひとり走っていく後ろ姿を見送ったとき。(中1男の子ママ)

■「おかあさんは いつまでも あなたの おかあさんよ」

 卒業・入園・入学のこの時期は、子離れ・親離れのシーンにたくさん出会えるターニングポイント。そんなときにぴったりな『くまのこポーロ』とは、どんな絵本なのだろう。


「子どもの成長を見守れる時間を大切にしたいと改めて感じさせてくれる絵本。わが子はこの絵本から何を感じるかな? 成長するにつれて感じ方も変化するだろうな。親子ともにずっと大切にしたい1冊」と紹介してくれたのは、書店関係者。「ポーロがおかあさんと離れたくないと泣くシーンは、わが子の後追いの時期が思い出され、涙が溢れた。母が私の背中を見送ったように、私もいつか子どもの背中を見送る日がやってくる。そのときに自信をもって送り出せるよう、惜しみない愛情を注ごうと思わせてくれる絵本」と語ってくれたのは、ブックレビュアーさん。「くまのおかあさんのような気持ちで、子離れ・親離れのときを迎えられるように、今の一瞬一瞬を、子どもと大切に過ごしたいと思いました」と感想を寄せてくれたのは、5才と1才の男の子のママだ。


 どの方も、母親の愛情いっぱいの読後感だ。――おかあさんは いつまでも あなたの おかあさんよ――この春は、くまのおかあさんの言葉を借りて「いつもどんなときも、私はあなたを見守っているよ」と、お子さんへ伝える機会にしてみてはいかがだろう。