悩む上司必見!「いまどき部下」を動かし、成長させるしかけ
更新日:2018/3/5
「いまどきの若者は…」。言う側も言われる側も、あまり気持ちの良い言葉ではないだろう。大抵の場合、いまどきの若者像がネガティブに映ってしまう原因は“能力差”ではなくて“感覚差”だ。人は誰しも、自分の感覚にそぐわないものには違和感を覚えるものである。ここで一点、注意しなければならないことがある。若者は、立場上上司にあたる人物に対して「いまどきのオジサン・オバサンは…」と言い返すことは出来ないのだ。そんな当たり前のことも顧みず、部下を貶してふんぞり返っているような裸の王様的上司は、少なくとも、いまどきの若者からは求められていない。
何もかも「いまどき」という言葉で済ませて、安易にステレオタイプに落とし込もうとする社会が、私はたまに嫌になる。それでもやはり、生育のバックグラウンドとなる“時代”は、その世代の性質に大きく関係することもまた紛れもない事実であると思う。勿論人にはそれぞれに尊重すべき個性があるが、世代の「全体的な傾向」をしっかりと把握して接することも、人を束ねる立場にある人間には必要なスキルなのではないだろうか。本日はそんな“部下との感覚のギャップに悩むリーダー”たちに向けられた本『「いまどき部下」を動かす39のしかけ』(池本克之/三笠書房)をご紹介したい。組織学習経営コンサルタントである著者が説く「いまどき上司」の39の心得は、すべて具体的かつ実践的だ。
■いまどき部下は「超」安定志向
いまどきの若者は「超」安定志向になっていると著者は説く。野村総合研究所が2015年に行った調査では、「有名な大学や学校に通った方が、有利になる」と答えた20代の若者は、男性で59.3%、女性で51.7%。2000年の同調査では、男女とも40%前半だったという。「夢や冒険心がないな」と思うかもしれないが、いまの若い世代はバブル崩壊後の景気の悪い時代に、「安定した生活が一番だ」と大人たちから常に口酸っぱく言い聞かされて育ってきたのだ。真面目で能力が高くても、リーダーとしての仕事を任せようとすると、途端に尻込みをしてしまうケースも往々にしてあるという。本書では、そんな性質を持った部下に仕事を任せ、結果を出させるための「しかけ」が解説されている。
■飲み会は業務時間「内」に行うべき
「最近の若者は、飲みニケーションを嫌がる」と思って、部下を飲み会に誘うのを躊躇する上司も多いのではないだろうか。しかし、2016年にサッポロビールが社会人1~3年目の若者を対象に行ったアンケート調査によると、先輩や上司と飲みに行きたいと思っている人が約八割もいたという。パブリックではない“プライベートな場”である飲み会は、普段取りづらいコミュニケーションを生む絶好の機会になる。しかし、「朝まで居酒屋で飲む」などの昭和から続く「飲み」スタイルでは、若者に嫌がられるのも無理はない。著者が提案する新しい飲みニケーションのポイントは、「業務時間内に飲みニケーションの時間をつくる」「アルコールがダメな人でも楽しめるような店を選ぶ」の2点だ。
「飲み会を業務にしないと来ないなんて甘えている」と思う方もいるかもしれないが、若者からしてみれば、「他人の時間と気遣いをずぶずぶとタダでむしり取る方が甘えている」のだ。「酒代は奢ってやっている」と胸を張っても無駄だ。若者は自宅に帰ってカップ麺をすすっている方が気楽で心地良いのだ。「ゆとり」で片付けられがちないまどきの若者は、実際はかなり合理的で、対価にはシビアだということを憶えておかなければならない。
いまどき部下は決して欠陥品などではない。上司がしっかりと部下の特性を理解することができたら、職場はもっと元気になり、世代間のコミュニケーションもポジティブなものになることだろう。
文=K(稲)