「ホンマでっか!?TV」でお馴染みの武田邦彦先生が日本経済のウソを斬る!「国の借金」に騙されるな
公開日:2018/2/22
工学博士の武田邦彦先生をご存じの方はとても多いことだろう。「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ)などでもお馴染みのあの先生だ。愛嬌のある穏やかな見た目とは裏腹に、独自の視点からバッサリと意見を斬り込むその姿勢に魅了されるファンも多い。私も過去、武田先生のブログやYouTubeチャンネルで「風力発電にみる専門家の責任」などさまざまな論を読み(聴き)、大いに考えさせられた経験がある。特に地球温暖化問題などに関して、武田氏は独自の立場でおそらく少数派であろう持論を発信するため、一部からは異端児のように捉えられてしまうこともあるが、どの論にも厚みのある独自研究と裏付けが提示されており無下にはできない。
武田先生の専門は工学だが、政治や経済にも精通している。むしろ専門外であるからこそ、工学から派生する政治や経済の深部に迷いなく斬り込めるのかもしれない。そんな先生が「政治家、官僚、マスコミ、経済学者のウソを暴く!」と謳う著書『給料を2倍にするための真・経済入門(ベスト新書)』(武田邦彦/ベストセラーズ)をご紹介したい。先生は本書で「日本は赤字国家ではなく、世界一の黒字国家である」と説いている。そんな本書の気になる内容を、一部ではあるがここにご紹介させていただく。
■国民を騙す、詐欺師的な報道~日本は「黒字国家」である
「国は借金だらけで国民ひとりあたり800万円の借金があり、ギリシャのように危機に陥る」というような文言を1度は耳にしたことがあるだろう。しかし著者はこの情報は間違っていると指摘し、さらには、これは意図的に仕掛けられたウソであると憤る。まず著者は、政府・銀行・企業・個人の「お金」と「借金」の概算を混合方式の計算で下のようにまとめている。
確かに政府の借金は1000兆円であるが、日本国全体では、差し引き360兆円の「純資産」を持っていることになる。これを、「“国の”借金1000兆円」と言い換える財務省の言い分や報道機関に著者は苦言を呈す。
「政府が借金を抱えているのに、国民は財産が多い」というのをひと言で言えば、「政府の債権(国債)を、国民が買って持っている」ということです。(中略)
「政府の借金」を「国の借金」と言い換え、政府が借りたお金をあたかも「国民が借りたお金」のように言い換え、「子どもたちに一人あたり800万円のツケ」という表現をしたのです。まさに、詐欺師、ペテン師の仕業で、これが政治家や官僚、マスコミのトリックだったのです。(本書32~33ページ)
日本が外国に持っている純資産(対外純資産)はマイナスではないため、「子孫にツケを残す」という状況は有り得ないことなのだ。さらに著者は、この「純資産360兆円」という値は、日本が世界一の“お金持ちの国”であることを意味すると説く。著者が日本銀行の「平成27年末 本邦対外資産負債残高の概要」、「主要国の対外純資産、為替相場の推移」などのデータから独自に導き出した2015年末の国の資産のランキングは以下のようになる。
〔世界の黒字国ベスト3〕
1位 日本…339兆円 2 位 ドイツ…195兆円 3位 中国…192兆円
〔世界の赤字国ワースト3〕
1位 アメリカ…886兆円 2 位 イタリア…57兆円 3位 フランス…50兆円
(本書35ページ)
以上のことから著者は、“大金持ち国家”の日本の国民は将来に不安を持たずにドンドン消費し、経済を活性化させ、自身の給料を2倍にすべきだと説く。その具体的な方法は、ぜひ本書を手に取って確認していただきたい。
また、上記以外のテーマ、例えば「“補助金”と“燃料電池自動車”の関係からうかがえる増税の闇」なども著者の独自視点の論が展開されており、実に読みごたえのある1 冊であった。一歩間違えると陰謀論や都市伝説のような迷宮に入り込みかねないようなテーマも、著者の独自の研究と裏付けにより厚みのある解説となっている。これからの日本の経済を回していく我々の凝り固まりかけた思考回路に、大きな風穴を開ける書だと言えよう。
文=K(稲)