「めんどくさい…」“苦手な女子社員”との上手な接し方
公開日:2018/2/16
『めんどうな女子社員の扱い方 8つのコミュニケーションスタイル理論』(山田英司/同文舘出版)。女性から反発を受けそうなタイトルである。かくいう私も女なので、読む前は「男性による男性のための男性よがりの一冊で、全然女性のことなんて分かってない内容なのでは……」と思っていた。
だが実際は、対女性に限らず「職場のコミュニケーション問題」を解決するための方法論を、心理学的な知見を交えながら独自の理論で綴る、いい意味で予想を裏切るビジネス書だった。
本書は、特に男性と大きく価値観が異なる女性にフォーカスし、「共有するものが何もない相手から信頼を勝ち取り」「こちらの提案を受け入れていただく」ための、「感情に左右されない客観性と高度なコミュニケーション技術」=「8つのコミュニケーションスタイル理論」を紹介している。よって女性だけではなく、めんどうな男性社員にも使える。
コミュニケーショスタイルとは、言動全般、主に話し方・聞き方の癖、表情や態度の傾向のこと。人によって8つのタイプがあるそうだ(本書では簡易診断ができるので、自分が何タイプか調べることもできる)。
相手のコミュニケーションスタイルを知ることで、人によって褒め方や叱り方を変えたり、相性のいいチーム編成をしたり、はたまた、新人採用時の参考にしたりと、様々な場面で活用することができるという。
自身のコミュニケーションスタイルを知れば、「人から自分がどう見られているか」が分かり、自己改善につながるというメリットもある。
この8つのコミュニケーションスタイルの詳細、活用方法は本書を読んでいただくとして、なぜ男性が「この女子社員、めんどくさ」と思うのか。本書の導入部分をご紹介しよう。
まず、女性の「仕事に対する意識」が男性とは違う場合が多いことが挙げられる。
男性は基本的に「一生涯働く」という前提で就労するが、女性は「暮らしの改善や家族(主に子ども)のため」という目的が多い(もちろん、キャリア志向の女性もいるが)。
男性は会社の規模や地位などを意識する一方、女性は収入や働き方を気にする傾向がある。男性が会社の壮大な夢やビジョンを語っていても、女性は「そういうのいいから、さっさと今ある仕事と、直近のスケジュール教えて」と思っていたりするのだ。
また、女性は表現やパフォーマンスが多彩だという。女性にとって職場での「コミュニケーション」は活力の源。男性は「しゃべってないで仕事しろ」とイラつくのではなく、「それで仕事へのモチベーションを高めているんだな」と思っていただければ嬉しい。
さらに女性を評価する時は「優位性」の褒め方ではなく、「存続性」の褒め方がよいという。
前者は「○○さん、すごいね! すばらしい!」といった「秀でている」ことを評価すること。後者は「○○さん、助かった! あなたでなきゃ!」といった、「必要性」に着目する褒め方だ。
あなたがよかれと思って口にしていた「○○さんは誰より優れているよ!」という評価は、もしかしたらその女性社員にとって、それほど「響いていない」かもしれない。
もちろん、全女性にとって共感できるのが「存続性」というわけではなく、中には「優位性」評価を好む女性もいるので、あくまで一般論として考えてもらいたい(本書の8つのコミュニケーションスタイルが分かれば、「優位性」「存続性」どちらを好む傾向にあるかも分かるようになっている)。
労働人口が減り、企業にとって今後ますます女性の活躍が必須になっていくであろう昨今、「働く女性」のコミュニケーションスタイルを知っておくことは、男性にとって大きな武器になるのではないだろうか?
文=雨野裾